桜田ひより&佐野勇斗の演技の魅力
――ハチとリンダ、主人公二人のキャラクターは、当初からあの感じだったのでしょうか。
実は、ハチはもうちょっと「ごきげんよう」的なお嬢様キャラだったんです。撮影前に二人共いろいろなキャラを考えてきてくれていて、最初の本読みの日に同じシーンを違うキャラで何回もやってみたんです。そんな時、休憩時間に二人がたわいもない会話をしているのを見ていたら、佐野さんがボケて、桜田さんがツッコんでいたんです。それを「今の感じ良かったよね」となって、ハチがツッコむ方にシフトしました。
――あのコンビネーションがあっての、ハチとリンダですよね。ハチとリンダを演じる桜田さんと佐野さんの俳優としての魅力は、どういうところにあると思われますか。
桜田さんは、どんなに難しいシチュエーションでも、どんな難しいセリフでも、「できない」と言わない。ちゃんと自分の中に落とし込んで成立させてしまうんです。脚本はあくまで設計図で、同じシーンを読んでもそこから連想するものは、十人十色。でも、その中で一番多くの人が感じるイメージを見分けて表現する能力がすごく高いと思います。さすが、芸歴18年目ですよね(笑)。歴戦の勇者らしく、お芝居がものすごくリアルなんです。僕らの想像を超えてくるレベルで、すごい女優さんだなと痛感しています。
佐野さんは、セルフプロデュース力がすごく高い。自分のことをちゃんと分かっている。アーティストであり、俳優であるという難しい立ち位置だからこそ、みんながいいと思うところを捉える力に長けているんでしょうね。それにコミュニケーション能力も高くて、どんな俳優さんとも、どんなスタッフさんとも仲良くなって、現場をものすごく盛り上げてくれる。まさにムードメーカーですね。
先日も佐野さんの所属するM!LKの紅白初出場が決まり、現場でも「おめでとう!」と盛り上がったのですが、そういうムードも追い風になっています。作りものではない空気感が映像にも現れて、自然とリンダにも影響しているんだと思います。
僕の考えるリンダ像は、ハチの背負っている重いものを笑い飛ばしてくれる人。「俺なんかもっとこうだし、あはははは」と言って、悩んでいる人が「うるさいな」と言うことで楽になるというか。佐野さん自身がそういう人なのかもしれません。だから佐野さんがリンダを演じると、現場の士気も上がる。ベテランの座長とは一味違う、彼の年代の彼なりの背中の見せ方というか、座長の振る舞いをしてくれて、すごくありがたいですね。
――人間らしいハチとリンダに、「さとり」という能力があるのもマンガっぽいですよね。
そうですね。普通のヒューマンドラマ、刑事ドラマじゃ若い子たちは見てくれない。「どうすればいい?」と考えたときに、『サイコメトラーEIJI』(日本テレビ系)や『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(TBS系)のようなファンタジー要素があってもいいのかなと思いました。みんなが「なんだか分からない」ものを1つ入れることで、突き抜けられる気がしたんです。リアルなヒューマンものだけでは描ききれない面白さは、若い層の視聴者が興味を持ってくれる要素だと思いました。
「ハチとリンダが最終的に何を選ぶのか見守ってください」
――最終回直前ですが、ここまででお気に入りのシーンはありますか?
第2話の冒頭ですね。リンダがパンクした車のタイヤを変えながら、ハチが「晶ちゃん(原沙知絵)に会いに行こう」というシーンがあるのですが、あのシーンが撮り終わった時に「ハチとリンダができたね」となりました。第1話と第2話を同時に撮っていたのですが、最初はどうしてもまだ、犯人と被害者というルールの中でキャラクターを演じていた二人でしたが、「一緒に逃げよう」となったときに、初めてリンダとハチの長い会話のシーンになったんです。そのときの二人のボケとツッコミの感じと、女の子がちょっと強気で男の子を翻弄しながらも、男の子はそれすら優しさで包んでるみたいな、理想のハチとリンダの形ができたなと思えた。それを見て小室直子監督と、「大丈夫だ!」と話したのをすごくよく覚えています。第2話は、TVerで見ることができますので、ぜひ見返してみてください。
――最後に、最終回の見どころを教えてください。
社会を巻き込んで大騒動を起こしてる二人が、最終的に自分たちでどういう選択をするのか、どういう道を選ぶのかというところに注目していただきたいです。逃げるという選択肢も間違いじゃないと思うんです。でも、大切な人ができて、その人と一緒にいたい、その人を守らなきゃいけないとなった時に、「果たして自分が逃げ続けていいのか?」と思う気がする。ぐっと踏ん張って何かに立ち向かったり、向き合ったりしなきゃいけない瞬間が誰しもあるのではないか…と。それがこの10話を通して、ハチとリンダが体現してくれていることなのかもしれません。だから、ハチとリンダが最終的に何を選ぶのか見守ってください。
◆取材・文=坂本ゆかり

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