
草川拓弥と樋口幸平がダブル主演を務めるオリジナルショートドラマ「こころ」が、日本映画専門チャンネルにて12月8日(月)夜8:00から独占放送される。あわせて、主演の2人の出演作を特集する企画「2ヶ月連続 俳優 草川拓弥がとまらない!」が現在放送中、そして「2ヶ月連続 俳優 樋口幸平に染められて!」が12月15日(月)よりスタートする。
同ドラマと同特集の放送を記念して、主演の2人にそれぞれインタビューを実施。本作への思いからお互いの印象、撮影秘話などをたっぷりと語ってもらった。前編(草川拓弥が「こころ」と出会い気づいた芝居への渇望と理想の俳優像「役が感じた本当の心をそのまま表現できる役者でありたい」)では草川から話を聞き、樋口から刺激を受けたことをはじめ本作の撮影を通して得たものについて深掘り。後編となる今回は「私」の親友である「彼」を演じた樋口が、本作のことだけでなく“樋口幸平”の人となりが分かるプライベートのことまで明かしてくれた。
「『自分のすべてを懸けなきゃいけない』と思った」
ーー夏目漱石の名作『こゝろ』から着想を得たドラマ「こころ」に出演するという話を聞いたときの気持ちを教えてください。
中川龍太郎監督の作品は大好きでよく拝見していたので、ご一緒できることがうれしかったです。夏目漱石の『こゝろ』は中学生の頃に読んでいたので、それを自分が演じられるというのはすごく不思議な感覚でした。同時にまた、今回の作品は「自分のすべてを懸けなきゃいけない」と思ったんです。自分が変わる作品になる気がしたので、作品に対する準備にも時間をかけました。
ーー準備に時間をかけたということですが、具体的にはどのようなことをされたのでしょうか?
衣装合わせと台本の読み合わせが同じ日で、準備して現場に向かったんです。いざ行ってみると、監督はまず作品のことには一切触れずに、僕の生い立ちを聞きたいと言ってくれまして。そこでまずは僕のこれまでの話をしました。19歳のときに、サッカーを諦めてこの世界に入ったこと、でもサッカーしかやってこなかったので、どうしていいか分からなかったことなどを伝えたら、「そのときの感情はこのシーンに合うと思わない?」とおっしゃってくださって。まずは僕のことを深く捉えてくれて、そこから役への架け橋を作ってくださいました。
僕が作品で演じた「彼」という役は、作品の中で一番感情があふれ出すキャラクターでしたが、セリフのない部分まで「どうして彼がこういう気持ちになったのか」ということを考えることができました。そこからは台本の読み方が確実に変わりました。この作品を通して、素晴らしい出会いをさせていただいたと思っています。
「そのシーンが終わったとき、僕は立ち上がれなかった」
ーー作品に入る前から中川監督とセッションされていたということですが、現場での演出はいかがでしたか?
すべてが初めての感覚でした。中川監督は、カメラを意識させないんです。「私」と「彼」が生きている時間を、ただ別の場所から映しているだけという感じで。シーンによっては「スタート!」と掛け声すら言わないんです。「気持ちが整ったら自分のタイミングで始めて!」と言われたり、「気持ちが先にあるなら、自然とそのときの“彼”の感情になるはずだから、セリフは変えてもいい」というスタンスで、カットも全然かけないですし、「ここまで歩いてここでセリフを言ってくれ」ということもありませんでした。
「俺はこう思うけど、幸平はどう思う?」っていつも聞いてくださってて、僕ら俳優へのリスペクトがはっきりと感じられました。本当に全力で一緒に「私」や「彼」を作ってくれる監督でした。
ーーそれはショートドラマだからできたことでもあるのでしょうか?
それはあると思います。「彼」が自らの胸の内を「私」にさらけ出すシーンの撮影は7回撮りました。6回目で、自分ではやり切ったと思える芝居ができたと思ったのですが、監督が「その感情で、もう一回やらせてほしい」と声がかかって。もう一度撮影して、OKが出ました。
そのシーンが終わったとき、僕は立ち上がれませんでした。体力の限界なのか、感情を壊していくような芝居をしていたからなのか、理由は分からないですが、「とにかくもう動きたくないし、動けない」という状態になって。そのとき初めて、俳優という仕事がしんどいと思いました。それくらい「彼」と向き合った現場でした。
「2ヶ月連続 俳優 草川拓弥がとまらない!」オフィシャルサイト
「2ヶ月連続 俳優 樋口幸平に染められて!」オフィシャルサイト
オリジナルショートドラマ「こころ」(2025)
12月8日(月)夜8:00より日本映画専門チャンネルにて放送
監督=中川龍太郎
出演=草川拓弥、樋口幸平、夏子
(c)日本映画放送
































