
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、アベナオミさんの書籍「今日、地震がおきたら」をご紹介。
作者であるアベさんが12月18日にX(旧Twitter)にエピソード「3月13日」を投稿したところ、5,400件を超える「いいね」が寄せられた。本記事ではアベさんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。
東日本大震災の”中間被災者”となった作者のリアルな体験談
作者であるアベナオミさんは、東日本大震災の中間被災者。住宅などに直接の被害はなかったものの、ライフラインが止まったため在宅避難を経験した。震災から2日後の3月13日は、まだ水と電気が止まった状態。当時1歳の子どもがいたアベさん一家と、現地で被災者が生き延びる姿を漫画に描いている。
本作を投稿したX(旧Twitter)には「当時を思い出し泣いてしまいました」「こういうのありがたい」「子供達にできる限り伝えなきゃいけない」「地震でみんな色々な物を失ったのにめげずに自然と周りで助け合っていって心温まる話」「電気がある有り難さ…当たり前と思わず毎日有り難く使わせていただきます」などの声が寄せられている。
「映画のようなドラマティックなことは起きず、とにかく淡々と生きた多くの中間被災者の姿を見てほしい」アベナオミさんに漫画へのこだわりをインタビュー

――書籍「今日、地震がおきたら」を漫画にしたきっかけや理由があればお教えください。
「マンガ・コミックエッセイのコーナーに置いて欲しかった」これが一番大きな理由です。これまで、防災に関する書籍は出版してきましたが「届いてほしい人に届かない」が悩みでもありました。今までの防災本は書店では「防災コーナー」に置かれることがほとんどで、書店に来てわざわざ少し奥の方にある防災コーナーまで足を運ぶっていう方は「すでに防災に興味のある人」です。
防災に興味のある人ってものすごく少なくて、いつ起きるかわからない災害に備えようと思う人は少数派。みなさん日々、目の前にある危機を乗り越えることで精一杯(私も)。「いつか」に備えるのは優先順位がかなり低い。防災士になってから全国津々浦々、お声がかかればどこへでも防災セミナーに飛んで行きましたが、防災セミナーはとにかく集客が大変。隣の会場の「離乳食教室」は満員御礼なのに、防災セミナーはがらんとしていることなんてよくありました。離乳食は目の前にある危機なので、多くの方が興味を持ってくれるんです。どうしたら興味を持ってもらえるか、まずは視界に入ることが大切だと思い「漫画」にさせてもらったんです。漫画のコーナーって用がなくてもついつい見る人も多いので、それが理由でした。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
災害というと「非日常」になってしまうイメージが強いと思います。私自身もそうでした。実際、被災した時に感じたのは「非日常」ではなく「不便で壊れた日常」が続く日々です。大地震が起きたって、トイレは行きたくなるし、お腹も減るし、お風呂に入っていなければ頭が痒くなる。流れないトイレをどうする?ご飯は?スマホの充電は?仕事は?とライフラインの止まっている中で、あるもので対応していく毎日。
ニュース映像には決して映らなかった、避難所に行かなかった、行けなかった、行きたくなかった人たちの生活をリアルに感じてほしいと思います。1歳の長男の「日常」を必死に守りたかった当時の私。映画のようなドラマティックなことは起きず、とにかく淡々と生きた多くの中間被災者の姿を見てほしいです。
――本作の中で特に印象に残っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
103ページの6コマ目「こんな大地震でも 生きているなら 何か役に立ちたかった!」と泣いているシーンです。25歳最後の日なんです。翌日は誕生日。25歳の一番動ける年齢で、こんなに大きな災害が起きて、スコップ片手に泥かきボランティアにも行ける健康な大人なのに、私にできるのは長男と自宅で過ごすだけ。ものすごく歯痒かったんで。
津波で家や家族を亡くしてもいないし、自分の布団で眠って、自分の家で過ごせていることがものすごい罪悪感。被災地以外のエリアから見れば「被災者」の大きな枠に入っていたと思いますが、私のように「罪悪感」を抱えて自宅避難生活をしている方は多かったと思います。そして、のちのち知ったことでしたが地元が被災三県で、進学や就職、結婚などで地元を離れていた人も「自分だけ被災していない罪悪感」を今も抱えている方が多くいました。「被災地にいたアベですら罪悪感を感じていたんだから、被災していないあなたの罪悪感は、そろそろ棚卸してほして大丈夫」そんな気持ちも込めた一コマです。
――東日本大震災の中間被災者として、この場で読者へ伝えたいことがあればお教えください。
中間被災者になりうるかどうかは、ハザードマップを見ることで大体予測がつきます。津波や洪水、土砂崩れ、液状化リスクなどの災害リスクがない場所にお住まいの方、大きな災害が発生したときは在宅避難になるかもしれません。
在宅避難になるかもしれない家庭が、怪我をしない、食糧やトイレに困らない。しばらくは自力で生活できる防災対策をすることによって、一台でも多くの救急車、消防車を送り出せると思うんです。防災対策は自分たちの生活を守るだけではなく、間接的な人命救助になるとアベは考えています。一緒に防災対策やってみませんか?毎日コツコツ少しずつ積み上げて行きましょう!
――今後の展望や目標をお教えください。
この「今日、地震がおきたら」ができるだけ多くの方に読んでいただければ嬉しいと思っています。東日本大震災は1000年に一度の大地震と言われましたが、日本に住んでいる限り首都直下地震や南海トラフ巨大地震、富士山噴火など大規模な災害のリスクがあります。大きな災害に遭ってしまった時「あ、昔漫画で読んだけど、災害時は無洗米じゃなくても炊けるんだ」とか「お皿にラップすればいいんだっけ」と思い出してもらえる存在でありたいです。もちろんこれまで同様、本を題材にした防災セミナーを全国どこでもどんな小さな会場でも、呼んでいただければ飛んで行きます!一人でも多くの方に「防災対策」興味を持ってもらいたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
今回、この本は漫画の全てのセリフにふりがなを振って頂きました。震災を知らない世代にも読んでほしい。そんな思いが込められています。防災って面倒で難しいし、防災の話をするきっかけも作りにくい。きっかけづくりの方法の一つとして、リビングのテーブルにそっと置いてほしいです。
紙の本の良さは、なんとなくそこにあればパラパラと読めること。「その本、読んだ?どう?」って会話から「もしも、今日地震おきたらウチトイレもないね」とか防災対策のきっかけづくりになればいいなと思っています。ぜひ家族みんなで読んでみてくださいね!
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。































