
BSテレ東で放送中の「今宵、町寿司で市川右團次と小粋な一献」(毎週土曜夜10:00-)。古くから地元で愛される町寿司を、歌舞伎俳優の市川右團次が酒と食事を楽しみながら大将に話を伺う。第8回目となる2月28日の放送では、東京・狛江市にある「寿し処おお田」へ。ゲストに迎えた松岡昌宏の意外なほどアツい「町寿司愛」で、番組はさらなる盛り上がりを見せた。
美味しいを探求し続けるこの道50年の大将
「え〜本日はこちら、狛江市にやってまいりました」という市川の言葉を皮切りに始まった第8回目。今宵の町寿司のキーワードは「この道50年『美味い』を探求し続けた職人が握る幻の生穴子」で、"生穴子”に注目した市川は「生穴子、食べたことないと思いますね」と興味を惹かれたようだ。初の生穴子を食すべく、いざ目的の店へ。
この日向かった町寿司は、平成15年創業の「寿し処おお田」。目的の店を発見した市川は扉を開き、いつも通り「失礼します」「歌舞伎の市川右團次と申します」と丁寧なあいさつとともに入店する。しかし"いつも”と違う店が1つ…市川より先んじてカウンターに座っている先客の姿があった。
「遅いっすよ!」と声をかけるのは、本日のゲスト・松岡昌宏だ。ここまでゲストを迎えずにやってきたため意外だったのか、市川は松岡を見て「えぇっ」と驚くばかり。それでも物怖じしない松岡は「お呼ばれしましたよ」と伝え、隣に着席する市川を迎える。しかもすでに常連さんと打ち解けているようすの松岡。あまりにもコミュニケーション力おばけというべきか…。
大将の太田幸男さんは烏山の旭鮨で5年修行し、そのあとは梅丘の美登利寿司へ。現在では30店舗以上展開している美登利寿司に22年ほど在籍し、店を立ち上げたのだという。お客さんを喜ばせるためにネタにもひと工夫し、美味しいを探求し続けるのが大将のこだわり。独立してから23年、どのネタにも丁寧な仕事をほどこす同店は地元の人に愛され続けている。
幻の生穴子や金メダル巻きに感動
お久しぶりです、とビールで乾杯した2人。市川と松岡の家は近所で歩いて1分程度の距離で、ウォーキング中に遭遇したこともあるという。さらに松岡は市川の同門の後輩・河合雪之丞の店で呑むこともあるなど、意外に接点が多いものの一緒に仕事をしたことはないという。不思議な縁だ。
ちなみに今回のゲスト出演は、番組スタッフが寿司店に連絡をしたところ"松岡の目撃情報がいくつか浮上した”ためなのだとか。そこから“町寿司愛が強そうな人物”とアタリをつけたスタッフが声をかけた…という流れも面白い。
楽しい場面での食事は、さらに美味しさが増す。はじめにおすすめのおつまみを注文した市川。ヤリイカ・ウニ・赤貝・ヒラメ・赤身が乗ったお刺身の盛り合わせを出してくれた。イカ・ウニを海苔で巻いて、とおすすめの食べ方を教わる。早速食べた松岡は「あー美味い!美味いっすよイカ・ウニ」と大興奮。
さらに大将のおすすめは、冒頭のキーワードにもあった“生穴子”だ。血に毒が含まれている穴子は仕込みが大変で、なかなか生では調理しない。そんな手間がかかる希少ネタを、白焼きと握りでいただくことに。
生穴子の調理風景を見て、松岡は「すっげぇ~骨切り!」と大将の腕に惚れ惚れしてしまう。骨を断ちながら身を切りすぎない…という繊細な技である"骨切り”が施された生穴子の握り。また穴子の身は弾力に富んでいるため、噛みきりやすいようにという狙いもある。
米も新米ではなく粘り気が少なく、甘みが控えめな宮城産「ささにしき」の古米をあえてチョイス。ネタの味を最大限引き出す大将こだわりの握りに、松岡も市川も「ああ美味しい!」「こういう形があるんですね~」と興奮しきりだ。
松岡が好きだという巻き物のほか、車海老、ヒラメの昆布締め、煮ハマグリなどどれも絶品の寿司を楽しむ2人。あっという間に時間が過ぎていくなかで、松岡の寿司屋に関する思い出を語った。幼少期、母の給料日…月に一度だけ町の寿司店に行ける日があったのだが、「そこでいただいた鉄火巻きを超えるものが、49年の人生で未だにない」と明かす。
鉄火巻きは店にいた常連さんが「食べろよ」「若いのは食え」とごちそうしてくれたもので、松岡は「そんなノリがすごく嬉しくて」と振り返る。常連さん同士の関係性が密で、楽しく酒と食事ができる町寿司への愛を熱量高く語る。
するとその話を聞いた市川の「最も大切だった町寿司っていうのが、どんどんなくなってるじゃないですか」という言葉に、「寂しいですよね」と松岡。さまざまな事情があって大変な業界だが、「絶対に残って欲しい」と強い想いを覗かせる市川に、松岡は「だからこの番組はずっと続けてくださいね、年に1回来ますんで」と話す。
一部ファンサービスもありつつ、最後におすすめをいただいて帰ろうとする2人。大将のおすすめは「金メダル巻き」だ。金メダルというワードに興奮する2人の期待が高まるなか、出てきたのはトロ・ウニ・イクラが乗った極上の逸品。締めにぴったりの一品だ。
"金メダル”という商品名の由来は、大将が前の店で働いていたときにさかのぼる。ソウル五輪で金メダルを獲ったレスリングの佐藤満さんが練習中にコーチと店へ食べに来てくれた際、“これを食べて金メダルを獲ってきてください”と巻いたのがこの「金メダル巻き」だったという。
ロケ日は偶然にも2月3日の節分。「金メダル巻き」を恵方巻きとして南南東を向いて食べることにした市川と松岡だが、あまりの美味しさに「うまっ!」「ダメだしゃべっちゃう」と笑うのだった。

































