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「100回泣くこと」の著者・中村航氏から甘く切ない恋愛小説が新着!

2010/03/26 19:11

なかむら・こう='69年岐阜県生まれ。'02年「リレキショ」で文藝賞を受賞しデビュー
なかむら・こう='69年岐阜県生まれ。'02年「リレキショ」で文藝賞を受賞しデビュー

ベストセラー小説「100回泣くこと」や、第26回野間文芸新人賞受賞作「ぐるぐるまわるすべり台」など、洗練された筆致で等身大の物語を描き出し、多くの読者の共感を呼んでいる作家・中村航氏。3月26日(金)、待望の最新作「あのとき始まったことのすべて」が刊行される。本作は、10年ぶりに再会した中学の同級生の男女が織り成す、切なさあふれるラブストーリー。刊行に当たり、中村氏に話を聞いた。

―――物語は、20代の営業マン・岡田くんと彼の中学時代のクラスメート・石井さんの再会から始まります。2人が語り合う中学時代の思い出に、それぞれの気持ちが盛り込まれていて面白かったです。

人によっても男女によっても覚えていることって全然違うと思うんですよ。すごく覚えている人も、全く覚えていない人もいて。僕は結構覚えている方なんだけど、同級生と10年ぶりに会ったりすると、全く覚えてないやつもいてビックリします。当事者なのに、おまえ何で覚えてないんだよ! っていう(笑)。逆に、すごい意外な人、当時はある物事とかに積極的にかかわらなかった人が覚えていたり。それは(作中に登場する)白原さんにも重なりますね。

―――中学時代、ポケットに何が入っていたという会話もユニークですね。

ポケットに入っていた物が違うと、思い出も違うのかもしれませんね。

―――なぜ10年後に再会する男女の恋愛をテーマにしたんですか?

「中村が作家になった」と聞いてみんな連絡をくれたり、結構多いんですよ。主人公は24歳くらいなんですけど、それ以上の人たちは再会ってことに大体ワンエピソードくらい持ってますよね。先日、偶然この小説を読んだ人から、「中村さん、昨日、昔付き合ってて留学した彼女から20年ぶりに連絡がありましたよ!」とか聞いた。再会した人の職業とか聞けば「ああ、なるほど」って、案外すぐにふに落ちるけれど、逆に当時のことは後になって知ることがありますよね。若い人はどういうふうに感じるんでしょうね。

―――物語が進むうちにもう1人の主人公が登場して、彼女の当時のストーリーが語られます。そこでも同じ出来事を違う視点でとらえていますね。

全く違うふうに書くということもできるんですけど、そうはしなかったんです。第1章、第3章というのが2週間くらいの出来事の話で、4章、5章も短い期間の話です。でも、この第2章だけは結構長い期間の話で、しかも過去があったり未来があったり、割と時間軸もスパンも長い。女の子の主観の話だけれど、読者は主人公と一緒に岡田くんと石井さんがやっていることを耳を澄ますように観察できるという、ちょっと変わったことを狙っています。

―――岡田くんの恋には切ない壁がありますが、彼は投げやりにならず仕事にも一生懸命です。そこには門前さんという会社の先輩の存在や、20代半ばという年齢もあるのかなと思いました。

まぁ、仕事したいですよね。ちょっと救いがないんでね、振られたわけだから(笑)。仕事でも何でもそうだけど、一生懸命頑張りたかったり、熱くなりたいじゃないですか。就職して2、3年目からは、自分が頑張ることと評価は追い付かなくても、着実に何かやってるなとか、何かできたという成果を感じる時期だと思うんです。応援歌みたいな気持ちもありますね。岡田くんというより、僕は門前さんに成り代わって言っているのかもしれない。このくらいの年齢の時、自分がこうしていればというのがあるのかもしれないですね。まぁ多分あと2、3年で岡田くんはモテだすと思いますよ(笑)。

―――今後の活動を教えてください。

今連載しているのは「星に願いを、月に祈りを」というちょっとSFチックな、結構長い話です。年内に書き上げられればいいかな。あと、完成がいつになるのか分からないんですが、「Sing Out Loud」という19、20歳から27、28歳くらいまでの青春を描いた作品があります。その2作を書き終えると、小説としては10作でちょうど1周した感じになるんで、今作はこれが1つのゴールになればという第1弾ですね。そのゴールが何かのスタートになればいいなと思ってるんですけど。

―――読者にメッセージをお願いします。

今まで書いたものより、ちょっと長い小説です。長い間一緒にいた小説なんで、ぜひ楽しんでいただければと思います。今までの延長でもあるんだけれど、すごい変わったこともやっていて。この本で始めて僕の小説と出会う読者のみなさま、また再会する読者のみなさま、小説を楽しんでいただければ幸いです。よかったら読んでみてくださいね。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

「あのとき始まったことのすべて」
3月26日(金)発売 1470円 角川書店

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