私は寛 一 郎さんの映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を見て唸った。自然体でありながら、触れば壊れてしまいそうな「繊細なピュアさ」や、時折見せる「芯の強さ」という相反する二つの魅力に目が離せなかったからだ。それゆえ、是非この作品の岡田の役は寛 一 郎さんにやって頂きたいと熱望していた。しかし、「しばらくは映画しかやらない」という話を聞いていたので、無理を覚悟で事務所に交渉した。
すると、共演が竹野内さん、監督が佐々部さんといったことも幸いして、「やらせてみてもいい」という返事を頂いた。そして撮影現場での寛 一 郎さんは想像以上に素晴らしかった。
一番凄いと思ったのが、「そこにいるかどうかわからないほどの自然体」という存在感である。岡田は確かに半年前からさいたま支局にいて、豪太郎の下で働き続けてきた。そう思わせるような、時間軸を飛び越えた演技表現が見事だと思った。しかし、きっとそれは意識しているのではないと思った。
そして何度か現場の撮影に立ち会い、これは持って生まれたDNAともいえる、俳優としての遺伝子がそうさせているのだと確信した。私は完全に「寛 一 郎マジック」に掛かっていた。寛 一 郎さんが演じる岡田の一挙一動から目が離せなくなってしまったのである。意地悪な言い方をすれば粗探しをしたいのだが、粗が無いと言えるほどの「自然体」なのだった。
特に私にとって印象深いシーンがある。後半、豪太郎たちと事件を追ううちに意識が変わってきた岡田が警察官に直接取材をしに行く場面がある。トイレの中まで押し掛けるのだが、その中の台詞の語尾を台本通りではなく「寛 一 郎流」に変えてきたのである。
テストでその魂がこもった台詞を聞いた時、「あ、変えてきた」と思った。私はそこに寛 一 郎さんの覚悟を感じたのだ。そんな寛 一 郎さんの演技表現が見られるのもこのドラマならではである。楽しんで頂きたい。
そして竹野内豊さん、寛 一 郎さんを取り巻く豪華な出演者陣もこの後発表してゆくので、楽しみにお待ち頂きたい。
「被害者の女児は死亡」――中央新聞の記者・関口豪太郎(竹野内豊)と藤瀬祐里は、世間を震撼させた連続誘拐殺人事件で世紀の大誤報を打ち、豪太郎は支社に飛ばされ、祐里は遊軍にされてしまった。
凶悪事件から7年、豪太郎はさいたま支局にいた。「読者が望んでいるのは真実をより早く、正しく伝えること。それがジャーナルだ」という口癖で新人記者・岡田昇太を叱責しながら、粛々と事件を追い続ける毎日だった。
そんな折、女児が誘拐される事件が発生。豪太郎は7年前の連続誘拐殺人事件との関連性を疑う。事件当時、豪太郎たちは「犯人2人説」を主張していた。「事件にはやはり共犯者がいて、7年前に逃げきった共犯者が、今回、再び事件を起こしているのではないだろうか…」。
豪太郎は本社の元上司、社会部部長の外山に記事にしてくれるように掛け合うが取り合ってくれない。そんな中、本社から応援に駆け付けたのは、祐里だった。
豪太郎は、祐里、岡田と一緒に連続誘拐殺人事件の真実に迫るべく、調査を始める。「スクープにこだわってるんじゃない、人の命にこだわってるんだ!」。
ネットニュースが蔓延する今、新聞記者としての誇りを胸に、事件記者たちが様々な障壁を乗り越え、7年越しの真実に近付いてゆく...。
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