
メリル・ストリープとアン・ハサウェイが共演する「プラダを着た悪魔2」が5月1日に日米同時公開され、オープニング3日間の全世界興行収入が約2億3360万ドル(約366億円)を記録した。公開から1週間たたずして既にリピートしたとの投稿もSNSに上がるほど話題沸騰中の同作をレビューする。(以下、ネタバレを含みます)
セルフオマージュの冒頭から胸アツ
冒頭から泣いてしまう…というのは大げさだとしても、胸がじわっとアツくなって高揚したのは確か。“アンディ”ことアンドレア・サックス(ハサウェイ)のモーニングルーティンの描写。繰り返し前作を見たことがある方なら共感いただけるだろう、「あぁ、あの世界が帰ってきた」と。SNSにも「アンディがアンディ過ぎてうれしかった」「これこれって感じ」というファンの投稿があった。
前作「プラダを着た悪魔」(ディズニープラスで配信中)が大ヒットし、続編を希望する声も多かった。ただ、ストリープやハサウェイは、過去のインタビューで続編に消極的なコメントをしていたこともあり、“働く女性のバイブル”と称された前作は、そのままで完璧で、長く愛される普遍的な名作となったのだ。
そんな中、前作も担当したデヴィッド・フランケル監督と脚本のアライン・ブロッシュ・マッケンナ氏、そしてストリープ、ハサウェイら主要スタッフ&キャストが奇跡的に再集結して、アンディとミランダ・プリーストリー(ストリープ)の“今”を生み出した。
2006年に公開された前作から20年の時がたち、目まぐるしく変わった社会情勢。アンディやミランダが身を置く出版業界、ファッション業界も例に漏れず。だからこその続編の意義を痛切に感じることになった。
アンディがミランダ率いる「ランウェイ」にカムバック
1作目では、ジャーナリスト志望のアンディが希望の会社への就職が難航する中、一流ファッション誌「ランウェイ」の編集長・ミランダのアシスタントに採用。私的な時間を削ることもおかまいなしに容赦ない指示を出す悪魔的なミランダの下、彼女の仕事に対する高いプロ意識から学び、成長しながら、自分が大切にするものや価値観に気付く物語だった。
40代になったアンディは、ジャーナリストとして第一線で活躍。だが、そんなアンディも厳しい社会情勢に巻き込まれる。賞の授賞式で名前が読み上げられるのを待っていると、同じテーブルにいた同僚たちとアンディのもとに相次いで解雇のメールが届いたのだ。栄えあるスピーチは一転して、理不尽な解雇への感情が爆発するものに。
その頃ミランダはというと、相変わらず「ランウェイ」のトップに君臨していたが、発言が切り取られてSNSで大炎上中だった。その事態を収めようと、ランウェイを出版する会社の会長が、スピーチの様子がバズっていたアンディに特集エディターの職をオファーする、というのが新たな物語の始まりとなる。
先般アメリカの大手新聞社が多くの記者たちを解雇したというニュースが報じられたが、アンディたちのようにメールで通知されたようで、なんとも生々しい。また、あの毒舌のミランダがコンプラを意識して第1アシスタントに発言を注意されるばかりか、前作で名シーン(あるいは迷シーンともいえる)であった、コートやかばんをアシスタントの机に片づけなさい、と投げ置くことも今はなく、自分でするのだ。
時代が変わり、その変化の影響を受けてしまうこと、変わらざるを得ないことはままある。生きていくにはそれらを受け入れなくてはいけない。では、その現実に向き合ったとき、キャリアや自分の価値観とどのように折り合いをつけていくのかということを、ミランダやアンディは見せてくれる。


























