
TBS×U-NEXT×THE SEVENによるグローバルプロジェクト「ちるらん 新撰組鎮魂歌」。5月1日にU-NEXTで配信された「京都決戦篇」最終話では、芹沢鴨(綾野剛)と土方歳三(山田裕貴)、近藤勇(鈴木伸之)、そして沖田総司(細田佳央太)の生き様が交錯する濃密な時間が描かれ、多くの反響が寄せられた。5月9日(土)からは「HBO Max」にて世界100以上の国と地域への配信がスタートするが、このほど山田と細田の対談が実現。2人が現場で何を感じ、どのように最終話へと向き合ったのか語り合った。
累計発行部数300万部超のコミックスを実写化
本作は、幕末の京都を舞台に、最強のサムライ集団・新撰組の志士たちの荒々しくも熱い生きざまを、ド派手なアクションと、史実に基づきながらも大胆な解釈で描いた累計発行部数300万部超の同名コミックス(原作:梅村真也、漫画:橋本エイジ/ゼノンコミックス)の実写化作品。
後に新選組副長となる土方歳三が近藤勇という“器”と出会い、沖田総司、斉藤一といった個性的な仲間たちと共に、歴史に名を刻む“新撰組”をいかにして作り上げていったのか。そして、激動の幕末を駆け抜けた若者たちの物語を、現代的かつ艶やかで魅力的なキャラクター造形と、史上最速とも評されるハイスピードな殺陣(たて)を交えて描く“ジャパニーズ・ソードアクション・エンターテインメント”だ。
主人公・土方を演じる山田裕貴の他、新撰組の志士役には、鈴木伸之、中村蒼、細田佳央太、上杉柊平、藤原季節、杉野遥亮、柳俊太郎、宮崎秋人、岩永ひひおら、強烈な個性と実力を兼ね備えた俳優陣が集結。
また、土方の宿敵であり盟友の「人斬り以蔵」こと岡田以蔵を中島健人、土方らに立ちはだかる“最強で最凶の宿敵”芹沢鴨を綾野剛が演じる他、奥野瑛太、高橋光臣、金子ノブアキ、安藤政信、桜井ユキら、多彩な俳優陣が作品を盛り上げていく。
最終話の撮影時、周囲も感じた細田佳央太“沖田”の変化
――圧巻の最終話。散る場所を求めていた芹沢鴨との死闘は、演じた綾野剛さんが「ラブシーン」とおっしゃっていたように、苦しくも愛しく切ない時間でした。
山田:ありがとうございます。本来、僕たちが演じているときに放っているであろう空気は、例えどれだけ力を込めて演じても100%伝わるはずないんですよね。舞台みたいに生で観てもらっているわけではないので。
それでも、この『ちるらん』は“ここを観てください、次はここ、次はここ”とフォーカスをしっかりしながら、みんなの熱量が最大限、映像に乗っかっていて。その精度がものすごく高かったように思います。
――地上波でオンエアされた“江戸青春篇”から、U-NEXTで配信された京都決戦篇へ。新撰組を取り巻く環境も変わるにつれて、みなさんの雰囲気も変わっていきましたか?
細田:そうですね。試衛館メンバーといるときは基本的には和気あいあいとしているんですけど、やっぱり話が進むにつれて明らかに命を奪っている数が増えていくので。新撰組っていう立ち位置も、試衛館のときとは明確に変わっていくなかで生まれる葛藤とか、行き違いみたいなものも当然あって。そういうものをみなさんすごく大切にされていたのは、現場でも感じていました。
山田:それこそ、沖田の目がだんだん変わっていくんですよ。まとうものがあるというか。最終話のアクションシーンの前には「ちょっと体が重いんで落としました」と、あの顔つきになっていて。カメラが回っていないときは、僕らともほぼ話さないくらいの空気になっていたんです。いつも一点を見つめて何か考え込んでいるような様子でした。
細田:そんな感じになっていました? 自分では気づいていないかもしれないです…。それだけ夢中になることができていたんだと思います。
――最終話では、沖田が我を忘れて“鬼子”と呼ばれる状態と、自分を取り戻す瞬間がハッキリと見えました。演じる上で意識されていたことはありますか?
細田:やっぱり難しいなというか、怖さはありました。それがちゃんと伝わるか、何よりも原作を大好きなファンのみなさんも観てくださっていると思うと、沖田がどう見えるのかっていうのは……。でも、やっぱり綾野さんがいてくださったのですごく救われました。本当にたくさんアクション練習に付き合っていただいて。
もうみなさんにも十分伝わっていると思うんですけど、あんなに器の大きい方ってなかなかいないじゃないですか。綾野さんの演じられる芹沢さんならどんな飛び込み方をしても受け止めてもらえるだろうっていう安心感があったからこそ、余計なことを考えずに取り組めました。
それに、最終話を撮影したとき渡辺一貴監督が楽しそうだったんですよ。芹沢さんと沖田しかいなかったシーンから、土方さんと近藤(鈴木伸之)さんが合流して……って、流れで撮っていったんですけど。その楽しそうな表情を見たときに「あ、自分たちのやってきたことは間違っていなかったな」って思いました。
――土方歳三としては、やはり芹沢鴨とやり合いたかったという気持ちだったと思いますが、山田さんとしても同じ思いですか?
山田:もちろんそうですね。もし僕がタイムスリップして、同じように刀で生きている人間になっていたとしたら、きっと「俺がとどめを刺したい」とごく当たり前に思うはずですが、それを仲間たちは譲っていくわけじゃないですか。「総司か歳さんしか勝てないから先へ行ってくれ」と言って。そこに胸が熱くなりました。
何よりも、鴨という人間は歳三にとって炎をもらえる存在だったんだと思っていて、「自分を走らせる炎を燃やす場所ってどこだ? こいつしかいねぇだろ!」と思わせてくれて、かつ純粋に「強くなりたい」自分をたぎらせてくれる人だったと思うんです。
それは、僕にも通じるところがあって。俳優としてうまくなりたいんです。ただただうまくなりたい。『ちるらん』は、色々な時代の圧力などを描きつつも、一番焦点を当てて描いているのは、そういう人間に備わっている上昇志向だと思っています。勝ち負けよりも、その気持ちを純粋に追い求めているだけなんだろうなと感じています。
綾野剛“芹沢”と対峙したシーンで山田裕貴が至った新たな境地
――土方歳三と芹沢鴨は「表裏一体」と認め合うシーンもありました。
山田:鴨が「楽しけりゃいいじゃねぇか」という考えに対して、歳三は「いや、楽しいだけじゃダメだ」というところが違うんですよね。歳三は、たくさんの死を経て強くなっていく一方で背負うものがどんどん増えていって。果たして強くなることは正しいのか、と迷っていく。
刀を持っている以上は「やれ」と、鴨のように純粋に言えている領域にいくにはどうしたらいいんだろう、という思いを抱えている中で、最終話で台本にはなかった歳三の台詞なのですが、「総司、ひとりで行くな」と言ったシーンがあります。
要は、戦う理由が変わっているんです。「俺が戦いたいから行く」という理由から、「仲間のために行かなきゃ」というものに。それが生きていくなかで難しい部分だなと思いました。
だから、鴨のことがどこかで羨ましいし、「俺を残していくなよ」「俺はここからまた生きていかなきゃいけないんだよ」という、言葉にしがたい思いだったので、あの鴨と対峙したシーンは、僕本当に何を言ったか覚えていないんです。
――まったく?
山田:はい。あのシーンは、自分の「俯瞰1割」をはずしてやってみたんです。大竹しのぶさんが舞台に立つ時はいつも「役の思い9割、俯瞰1割」の視点を持っているというお話を以前読んだことがあって、以来ずっとそれを実践しているのですが、あのシーンはその感覚をあえて外したんです。抱えるものが増えていった歳三にとって、あの瞬間は考えを外すことが大事だった。
だから、僕自身も「考えないようにする」とすら思わない感覚で、今、鴨に思っていることだけを全力であそこに出そうと臨みました。一度レバーをぶち壊して、何が出てくるのかを自分でも楽しんでいたところがありました。
――そんな山田さんを間近でご覧になってどう感じられましたか?
細田:その覇気はもちろん感じましたし、自分としてはおふたりのやりとりから目を逸らしちゃいけないなっていう思いが強くて。土方さんが鴨さんに対してそう思っていたのもわかるし、その上で自分がとどめを刺したから。自分のなかで責任感というわけでもないですけれど 、背負わなきゃいけないものが増えたっていう感覚もありました。
山田:歳三としても言い過ぎちゃうと、総司が苦しくなるっていうのもあるしね。
細田:そうですね。ただ、沖田としては間違いなく変化が起きた戦いなので。最初から瞬きもせずに見届けようと決めていたのですが、おふたりのお芝居に引き込まれました。
――芹沢鴨が散ったことで土方歳三が変わってしまった様子も描かれました。
山田:最終的に残ったのが一つの感情で。ただ「寂しい」なんですよね。仲間はいる。でも守らなければならない存在という感覚で、仲間と集まって、それこそワチャワチャとみんなでご飯を食べているシーンでも、なにか違ったんです。あの鴨との戦いを分かち合えてないんだ、という思いでした。
細田:撮影したのは、たしか翌日でしたよね。
山田:そう。だからこそ、まだあのシーンをより背負ってしまっていて。周りから見ても変わったというのは、きっとリアルにその心情だったんだと思います。
細田:本当の理由をわかっているからこそ、僕も近藤さんもそこに対して触れないし。
――役としても、俳優としても、リンクしていたんですね。
山田:仲間なはずなのに、家族なのは変わらないはずなのに、どこかで「あ、そうだよな。こいつらは俺の思いなんて別に知らないもんな」という感じでした。









































