【テレビの開拓者たち / 内村宏幸】“ウッチャンのいとこ”の放送作家が語る、コント番組「LIFE!」ヒットの理由
自分が見たものや経験したものじゃないとネタにできないんです
──放送作家としてターニングポイントになった番組は?
「やっぱり、『夢で逢えたら』(1988~1991年フジ系)かな。あの番組で、僕が書いたコントを評価してくれるスタッフの方々が何人かいて。自分の考えたことを『面白いね』と言ってくれる人がいる、そのことが『この仕事でやっていけるかもしれない』という自信につながりました。
当時のネタで特に気に入っているのは『ポチとまんじ丸』というシリーズ。見た目はパンクなんだけどお人好しのバンドマンのまんじ丸(南原)が、毎回浜田(雅功)さん演じる悪徳プロデューサーにダマされるんだけど、人がよすぎてダマされてることに気付いてないっていう(笑)。あれは毎回考えるのが楽しかったですね。
今もそうなんですが、僕の場合、自分が見たものや経験したものじゃないとネタにできないんですよ。全くの空想や妄想ではなく、誰もが身に覚えのあるような、リアルなことをネタにするのが得意…というか、好きなんですよね」
──「サラリーマンNEO」も、そんな“市井の人々の日常”を描いたコント番組の一つですよね。
「『サラリーマンNEO』は、『笑う犬』が終わって、しばらくコント番組はできないかなと思っていたときに、NHKさんから声を掛けていただいて。『NHKっぽくない、でもNHKでしかできないバラエティー』というコンセプトに基づいて、サラリーマンをテーマにしたコントを、芸人さんではなく俳優さんに演じてもらおう、というところから始まった企画です。のちに映画(2011年公開)にもなりましたし、僕が関わった番組の中でも、あんなに評価していただいた番組はなかったですね。サラリーマンの経験が全くない中、サラリーマンの友人やNHKの方々に話を聞いたりしながら、6年間コントを書き続けて、社会勉強にもなった番組です(笑)」
──その後、同じNHKで「LIFE!」のレギュラー放送が2013年から始まりました。
「今、番組のディレクターをしている西川(毅)くんが、『またコント番組をやりたい。今度はぜひ、内村光良さんとやりたい』と言ってきて。で、ウッチャン本人に聞いてみたら、二つ返事で快諾してくれて始まった番組です。それまでNHKでは、『サラリーマンNEO』で“サラリーマン”を、『祝女~shukujo~』(2010~2012年NHK総合)では“女性”をテーマにしたコントを作ってきたわけですが、今回は、座長のウッチャンも含めて、われわれも年を重ねてきて人生を考える機会が多くなってきたので、いっそ“人生”そのものをコントの題材にしたら面白いんじゃないかと。人生という括りだったら何でもありだろう、という計算もありつつ(笑)」