
あまたの美男美女がしのぎを削る中国ドラマ業界で、正統派イケメンの枠にはハマらないながら、ここ数年は主演作が途切れないリウ・ユーニン。歌手としてデビューしたのち、アラサーとなってから俳優業を始めた遅咲きの中国スターだ。切れ長の目とさっぱりとした顔立ちは、主役としては華やかさに欠けるように感じるかもしれない。しかし、ひとたび彼の芝居に触れてみれば、目が離せなくなるほどの不思議な存在感に驚かされることだろう。CS放送・チャンネル銀河では、6月16日(火)より「一念関山-Journey to Love-」、6月22日(月)より「折腰(せつよう)」と、リウ・ユーニンが主演する時代劇が立て続けに放送される。本コラムでは、この2作品を通じて彼の魅力に肉薄してみたい。
俳優デビューまでの紆余曲折に満ちた道のり
主演作に触れる前に、まずはリウ・ユーニンが俳優としていかに特異な経歴を持つかに触れていきたい。多くの華流俳優はその道の名門大学で演技を学び、デビューするのが常だが、彼は家庭の事情から調理師学校に進学。様々な仕事を経験しながら歌手として活動し、バンドのボーカルとしてエンタメ業界入りを果たしている。
その後にネット映画で俳優業を始め、29歳にしてドラマデビュー。「江湖英雄伝~HEROES~」(2022)では主人公の友となる一匹狼の剣客を演じ、クールさと内に秘めた熱さ、鮮やかな剣戟で注目を集めた。翌年には初主演作「一念関山-Journey to Love-」で優しく頼もしいスパイ機関のリーダーという当たり役を得て、大ブレイクを果たす。
以降は「折腰(せつよう)」(2023)、「紅き真珠の詩」(2023)、「書巻一夢(原題)」(2025)など、主演作が途切れないほどの人気俳優に。様々なドラマでOST(オリジナルサウンドトラック)にも参加し、歌手と俳優の二刀流で活躍している。新作現代劇への出演も囁かれており、今もっとも勢いのある中国スターと言えるだろう。

冷たい瞳の奥に宿した悲哀、繊細な目の演技が光る「折腰(せつよう)」
リウ・ユーニンの魅力を語るなら、政略結婚から始まる愛を描いたロマンス時代劇「折腰(せつよう)」は外せない。彼が演じるのは、同盟関係にあった焉州の裏切りにより、辺州将軍・李粛(リー・スー/ヤン・チーユー)の軍に家族を殺された魏劭(ウェイ・シャオ/リウ・ユーニン)。焉州を統べる喬家への復讐心を抱える魏劭は、やがて魏軍の冷徹な当主として恐れられる存在となる。
かつて李粛に奪われた辛都の奪還に成功した魏劭。そんな折、喬家の娘・小喬(シャオチャオ/ラレイナ・ソン)との縁談話が舞い込む。戦わずして焉州の領地を手に入れられるかもしれないと考えた魏劭は、やむなく縁談を受け入れるが、小喬への不信感を隠そうともしない。しかし、小喬の聡明さと優しさに触れるうち、冷え切った心が解けていく。
物語序盤の魏劭はいっさい笑顔を見せず、仇敵・李粛を討った際には、手足を切り落として箱に詰めるという残忍さを見せる。だがその裏には、家族を失った深い悲しみと、今もあの日の惨劇を夢に見るほどの苦悩が隠されている。冷たい瞳の奥に揺らめく憂いを感じさせるのは、リウ・ユーニンの持ち味ともいえる目の演技あってこそだ。
上品さをたたえた知的な顔立ちだけにクールな表情も似合うが、少し口角を上げた微笑みも絶品。小喬にプレゼントをもらう場面で、思わず笑みを浮かべてしまい、あわてて冷静を装う魏劭の姿はあまりにもかわいらしい。過剰なツンデレはともすればギャグになってしまうが、魏劭のツンデレは実に自然だ。だからこそ、まんまと心を射抜かれてしまうのだ。





























