
ディズニー&ピクサーが描く“もしもの世界”。その始まりは、“もしも、あなたの知らないうちに、オモチャたちが動き出していたら”をテーマにした「トイ・ストーリー」(1995年)で、最新作の第5弾が本国アメリカでは6月19日(金)に、日本では7月3日(金)に劇場公開される。ほか「ファインディング・ニモ」(2003年)や、「インサイド・ヘッド」(2015年)など、想像力豊かなストーリーで多くのファンの心をつかんでいる。その中から今回は、3月に劇場公開され6月10日より配信がスタートした「私がビーバーになる時」をレビューする。(以下、ネタバレを含みます)
主人公がビーバーとなって動物の世界へ
本作での“もしもの世界”は、“もしも動物の世界に入れたら?”だ。「私がビーバーになる時」という邦題からも分かる通り、大学生の主人公・メイベル(日本版声優:芳根京子)がビーバーとなって動物たちの世界へと潜入するストーリーとなる。
動物が大好きなメイベルは、祖母との思い出の地でもある森の危機に立ち向かおうとしていた。高速道路の建設が進んでいたのだ。
池ではカエルや水鳥、ビーバーが泳ぎ、周囲を鹿が歩き、草花の隙間ではクモが巣を張り、風で葉が揺れる木には鳥が羽を休める。そんな様子を見ていると、メイベルは叱られて腹を立てていた気持ちも晴れた。祖母いわく「自然のおかげだね。自分も大きなものの一部だと感じたら怒れない」ということ。動物たちが快適に過ごす自然の力は偉大なのだ。
高速道路建設計画を推進するジェリー市長(日本版声優:渡部篤郎)は、建設予定地は野生動物の生息地を避けて選んだと発言。驚くメイベルだったが、実際に動物たちはいなくなっていた。それは、ビーバーたちが引っ越したから。大学で生物学を教えるサム博士(日本版声優:高島雅羅)によれば、ビーバーは生態系の要で、ビーバーが天敵から身を守ったり、食料を確保しやすくするために川の流れをせき止めてダムを作ることで、他の動物たちもそこに集まってくるのだという。
それならばビーバーを連れ戻そうと考えたメイベルは、ひょんなことからサム博士が動物型ロボットに人間の意識を転送させる研究をしていると知る。動物たちを理解するための研究だったが、メイベルは「同じ動物として彼らと話せたら、ビーバーを見つけて池に連れ戻せる」と、サム博士の制止を振り切って自分の意識をロボットビーバーに転送した。
現実と架空が入り混じった物語の楽しさ
大好きな動物の世界の一員となったメイベルは、早々にフクロウにエサとして捕らえられるというピンチに見舞われる。なんとか逃れることができ、動物たちの言葉が理解できることに「最高!」と大喜びしつつ、ビーバーを探し始める。
一匹のクモが教えてくれた場所で、ようやくビーバーを見つける。だが、そのローフ(日本版声優:宮田俊哉)という名ののんびり屋なビーバーは、メイベルの目の前でクマのエレン(日本版声優:かなで)に食べられそうになる。必死で止めるメイベルだったが、エレンもローフもなぜ助けるのかと不思議がった。食べる、食べられるは「池のルール」だというのだ。
人間の世界と同じように動物の世界にもルールがある。食物連鎖は人の研究でも明らかになっていることだが、動物たちにとっても当たり前のことになっている現実。一方でメイベルが連れて行かれた動物たちの“王様”の存在と、王様のもとに多くの動物たちが集まってダンスをするというのは、架空のことだとしても楽しい。
現実の厳しさと架空の楽しさが絶妙に合わさって、物語の世界を広げる。ピクサー作品の真骨頂だ。もしかしたら架空というのは人間目線で、動物の世界では現実かもしれない――、そんなことも頭によぎったりしながら。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
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