――「水彩画」の経験は?
小学校の時の授業でやったきりですね。あの頃は、先生に書き方を教えてもらってそのままやってただけで何もわかってなかったですけど。絵を描くのは好きで、アニメの絵を描いたり模写したりしてましたね。でも、鉛筆派だったんで全部色鉛筆で、そこにアクリル絵の具をベタッと塗ったりとか、ルールがない世界で絵を描くのが好きだった。だから今回「水彩画ってどうやって描くんだっけ?」というところから始まりましたね。
――絵には自信はありましたか?
絵が好きだし、模写が好きだから何とかなるだろうし、自分の世界観は自分でも好きだから、自信はありました。
――この番組でアンナさんの絵の才能を知った方も多いと思いますが、周りの反応は?
最初の先生の反応が一番面白かったよね。私が描いたとわかって「えっ!」って(笑)。アンナのイメージで、真っ黒な絵とか骸骨の絵描くと思ってたんですよ。違いますから。人は見かけによらないよ。結構、女子の部分あるじゃんと思ってくれたら、ちょっとはファンが増えるかな(笑)。
――ご自身の世界観を表す絵を描くためのこだわりは?
目に見えている色を塗るんじゃなくて、目に見えない色を重ねて見えている色に近づけたいんですよ。茶色だったら茶色い絵の具を使うんじゃなくて、黄色とかピンクとか紫とかを使って茶色に近づけていくっていうのがこだわりかも。アーティスティックよね。ピカソ的な感じ?(笑)。
――では、誰かに教わるんじゃなくて、ご自身でいろいろ試してみて、自分の世界を作っていかれたんですね。
そうそう。今回も教わりたかったけど、自分にこの話がきたということは自分のいいところを出したいから、教わったらまた違うのかなと思って本能のままにいきました。でも、今はちょっと教わりたいと思っているけどね。こう描きたいっていう時に、どういうテクニックがあるか知りたい。
――今回の作品は自信ありますか?
音楽と一緒で納得いくってことがないんですよね。だから、また絵を描きたいと思うんだろうね。でも、やっぱり本物にはかなわないと思うところもあって。終わりがないから、どこかで今の自分の出せる実力だと諦めて、また次の機会にはそれより上にいって、ちょっとずつ階段を上っていきたい。
――絵に対しての思いも強くなりましたか?
これまでは自分が好きな絵を描いていたけど、テーマとして自分の苦手なものを与えられて、どうやって自分のものにすればいいのか努力していかなきゃいけないから、すごく死にそうになってますよ。うまく描けなくて破って捨ててやろうかなと思う時もある(笑)。でも、描き終わった後に「偉かった」と自分に誉め言葉がでるんで、そういうところはありがたいし、芸術って人間が唯一作れるアートだから、そこにかかわっている時は無心だし、楽しいし、私はずっとやっていきたいなと思う。
――この番組で「水彩画」をやり始めて、生活に変化はありましたか?
普段の生活の中で「これを絵にしたらどうなるかな」と考えるようになった。子供がいるから絵を描ける時間がなかったけど、家族の協力で時間を作ってもらったりして。自分がうまくなりたいから、やりたいなという思いは強くなった。
――「俳句」「いけばな」「押し花」「消しゴムはんこ」など、他のジャンルへの興味はありますか?
「消しゴムはんこ」みたいな木工的なものは駄目。「いけばな」は一輪挿しにしちゃいそう(笑)。やるとしたら「押し花」かな。絵に近いもののほうがいいから。「俳句」は絶対に駄目。でも、(ご褒美として)ダイヤモンドとか見せられたら、やるかも(笑)。
――ライバルだと思う方は?
技術的には田中道子さん。設計士の資格持っているから、絵を形でとらえるんですよね。一枚の紙にどう当てはめるのかというのがすごく上手。頭の中が定規なんだと思う。「何となくこういうもんなんだろう」じゃなくて、「これはこうだからこうなってる」っていうのが分かってるんだよね。私はそういう感覚ゼロだから、あの感覚が欲しい。それがあったら苦労しないな。
自分の絵とちょっと似ていて、ライバルなのはしずちゃん。しずちゃんの絵、すごく好きなんです。芸術的で、ただリアルに描くんじゃなくて、しずちゃんの感情を入れて書くから。しずちゃんも感覚的でつながるところがあるから、いい意味でライバル。
もちろん採点というのはあるけど、絵には答えがなくて、その人の気持ちが入ってくるから、みんなの絵はそれぞれですてきだし、見ている人も楽しいと思う。これを見て絵を描きたいと思う人や、子供たちがいてくれるといいと思う。
――これからどんな絵を描いていきたいですか。
人を描くのが好きなんですよ。人のしわとか描きたくて。鉛筆の線を活かした水彩画が自分の中で遊べるようになったら面白いし、自分なりの色を使ってリアルなんだけどファンタジーみたいな不思議な世界を描けたらいいなと思ってる。
――今回の特待生昇格への意気込みを。
自分のできる限り一生懸命丁寧に描いたつもり。それが先生の目にどう映るかはわからないけど、自分はやるだけのことはやったから満足!
■4月10日(火)は「俳句」で現在2位に位置する名人8段、昨夏のタイトル戦「炎帝戦」を制し二冠を狙う藤本敏史に直撃!
取材・文=国川恭子
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