思わず脚本家に伝えた「作品の面白さ」
――古賀の言葉を聞いていると、本当に本音で言っているのか分からなくなることがあります。
本心を言っているのか、自分はそう思わないのだけど「世の中こういう仕組みで進んでいる」という現状を伝えているのか、あるいはまた違う何かを言っているのか…。
ただ今回の作品は、お芝居をしていく中でそういうさまざまな感情を発見できる脚本になっているので、脚本家の田中眞一先生にお会いした時に「本当に面白いですね!」と申し上げました。そういった「のりしろ」が隠された原作や脚本だと思いますし、台本を書く時にさまざまな感情を入れながら書いていらっしゃるでしょうから、僕らも(感情を)読み取って思惑をくんだ表現をやらなければいけないなと気を引き締めています。
――古賀は本当に金融コンサルタントをやりたいのでしょうか? 彼を突き動かしているものは何だと思いますか?
人って生きていくうちに目標が変わる時がありますよね。若い時は人生の選択肢が少なかったけど、いろいろと経験して成長していくと選択肢が増えるじゃないですか。だから若いころの古賀の価値観では「お金を稼いで生きていくしかない」という気持ちがあったのかもしれないけど、年齢を重ねて「お金が全てではない」と思うようになったんじゃないかな。
――椎名さん自身の目標は変わられたのですか?
若いころは役者として生きることが目標だったのだけど、いざ役者になったら「もっといい俳優にならなきゃ」とか目標探しになりますよね。ただ、ふと自分の世代や下の世代を見ると、ITでビッグサクセスをしている人を見ると、役者というのは非常にアナログだなと思います。僕らもデジタルを使って自分の分身を現場に飛ばせるようになれば良いのですが(笑)。