4月21日(土)、那覇市の桜坂劇場で「島ぜんぶでおーきな祭 第10回沖縄国際映画祭」『ニワトリ★スター』の上映と舞台あいさつが行われ、かなた狼監督、井浦新、尚玄、マグナム弾吉、ペロンヤス、シャック、プロデューサーの山下貴裕が登壇した。
同作品は、30代も半ばで無目的な暮らしに焦りを感じ始めている草太と、誰も立ち入れない過去の影をまとう20代の楽人の2人が大麻の密売で生活しながらも予測不能な出来事に巻き込まれていくストーリー。くたびれた大麻の売人・草太役を井浦新、全身タトゥーの赤髪モヒカンの無邪気さと影を持つ若者・楽人役を成田凌が演じる。監督は、原作・クリエイティブディレクター・HIP HOP集団・元板前・アパート大家という肩書を持つ異色のクリエイター・かなた狼。
自己紹介でかなた監督が「園子温です」ととぼけると、会場は一気に和やかムードに。監督もリラックスした様子で「16歳の時に遊びに来て以来、沖縄は思い出深い土地です」とあいさつ。本作品は、井浦新、成田凌が異色のキャラクターを演じるファンタジーを織り交ぜたバイオレンス映画。かなりはじけた役を引き受けた理由について、井浦は「決め手は“仲間”」と即答。「仲間たちが集まって映画を作るということはとても難しいこと。出演者それぞれが監督に対する思いがあり、それぞれの熱い思いが伝わったからできた映画でした」と振り返り、「この作品は自分自身にとって特別な位置づけとなる大切な映画」と語った。続けて「複雑な理由はなにもなく、ただ“作りたい”という気持ちだけでチームで作りあげた映画です」と語るかなた監督。井浦とは10年前から映画を作る約束を交わしていたとのこと。
また、成田は「この役をやれるのは自分しかいません」と自ら出演を持ちかけたそうで、これには「無謀ですよね」と井浦が思わずツッコんで会場を沸かせた。そして「監督の言葉を一言一句大切にしたかった。だからアドリブはほぼないです」と井浦。「監督の言葉をどう自分たちの血肉にしていくか」と、成田とは撮影前から映画の役柄と同じような関係を築いていったと明かし、登壇者の口々から今作でのチームワークや絆の強さ、作品への強い思いが語られた。
今回、映画祭で公開されたバージョンは少し上映時間が短く“秘密”のシーンがまだまだあるそうで「ぜひまた劇場で見てください。3回見たら全然違います!」と井浦の力強い声が会場に響き、舞台あいさつを締めくくった。
『ニワトリ★スター』は全国で順次公開中。