英徳学園・C5サロンと食堂
――全体的なコンセプトは?
「花より男子」(2005年)、「花より男子2(リターンズ)」(2007年)という前シリーズがある作品なので、その世界観は残しつつ、新シリーズとしてグレードアップした感じにしたいと意識しました。また、原作が漫画ということもあり、実写としてのリアリティーにこだわりつつも、少女漫画ならではのファンタジー要素もいやらしくない程度に盛り込めるよう努力しました。
学校らしくというのは逆にあまり意識しないようにしてます。食堂はお金持ちの学生が集まる居場所としてふさわしい、パッと見て「おっ!」と思えるような、まるで高級ホテルのラウンジのような空間にするのが目標でした。
英徳学園は、寄付金制度があることによって、生徒たちには少なからず暗黙の階級が存在していると感じました。その繊細な格差を空間に落とし込むために、入口から奥にいくにつれてテーブルやイスのグレードを徐々に上げています。
“隠れ庶民”の音ちゃんは当然のごとく奥にはいけず、入口付近の席を選んでいます。音ちゃんの心理描写の手助けになるように空間にグラデーションをつけました。
――距離感を表現するために特にこだわっているところは?
食堂とC5のサロンは、スタジオで建てられる最大限のストロークを確保するために対角線をメインの芝居場に据え、三角形のダイナミックな空間を作りました。
江戸川音と神楽木晴、最初は一番遠い距離にいる二人がだんだんと近づいていく、交流が行われていく様子を物理的にも表現したく、奥行きとスケール感を大事にしています。
前シリーズより高さも広さもあるのですが、使っている木部の色味と壁の色味は前シリーズの色味を踏襲しています。そこは躯体として残しつつ、2階に関してはC5の新しい居場所として新しく作りました。1階と2階の階級の差を分かりやすく表現するために1階は木を使ったり暖色系の壁色にして、2階は石目調で白と青を多めに使って寒色系に、クールにしました。
また、階段の蹴上げのところにライトを仕込んで少し光らせているのですが、音楽番組のセットみたいにキラキラさせることで、少女漫画らしいファンタジー要素を思い切って取り入れています。
下から見たら空間は繋がっているけど、ライトアップされた階段を上ろうと思う人がいなくなるような、この階段から先は選ばれた人しか行けない感が出せたらと。
――C5サロンでのポイントは?
C5サロンのソファーは一見バラバラに配置しています。クラシックな茶色のソファーは神楽木専用で、世界に一点物の大きな3Pソファーにしました。晴なら「俺はこれに座る!」って決めるかなと考えて選びました。
晴以外は、僕の勝手な妄想ですが、愛莉が「海斗はこの色ね!」みたいな感じで全部強引に決めたんだろうと思って選びました(笑)。なので晴のソファ以外は同じブランドのソファを選んでします。
個人的にはこれも大事なポイントだと思っていて、色も形もバラバラで、クラシックなものとモダンなものが同居しているのって一見まとまりがないんですけど、F4に憧れで作った5人ということもあって、まだ未完成なところが多く、C5の持つどこか歪な関係性がひとつの可愛さであり、魅力なのかなとおもい、変に大人っぽくまとめずに素直に表現しました。