青木崇高、「西郷どん」で慶喜演じる松田翔太との演技は『冷静さをかいたバチバチのやりとり』

2018/07/15 11:00 配信

ドラマ インタビュー

青木崇高演じる島津久光は、愛らしく威厳のあるキャラクターとして話題(C)NHK

鈴木亮平が主演を務める大河ドラマ「西郷どん」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)が7月15日(日)の放送から新たな局面を迎える。2度の島流しから帰ってきた主人公・吉之助(鈴木)が、ついに革命の表舞台へと上がっていくのだ。

そんな吉之助に島流しの刑を下した張本人でありながら、呼び戻した人物でもあるのが国父の島津久光(青木崇高)である。

久光は、吉之助の“生涯の敵”と言われており、常に反発しあう間柄。クセの強いキャラクター・久光を演じる青木にインタビューを行い、久光の吉之助への思いや、撮影現場の雰囲気などを聞いた。

人間的なエピソードがたくさん残っている人


――今回が3度目の大河ドラマ出演ですが、学ぶことは今でも多いんでしょうか?

そうですね。スタッフさんたちが持っていらっしゃる技術や知識がとんでもない量なので、聞けば聞くほど勉強になります。

始めて参加した時は、あまり質問できずに「あ、そうなんだ!」と気付くことが多かったんです。でも今はスタッフさんに積極的にいろんなことを聞くようにしています。

衣装さんや美術さんなどに小物の色や身に着けるものについて相談して、そこからキャラクターを探っていくんです。

ずっと勉強し続けることができるので、他の作品に出る時でもこの現場に学びにきたくなります。

――久光という人物を、どのように捉えて演じられていますか?

兄の斉彬と対照的に描かれている部分が多いと思います。(斉彬が)ヒーローのような存在なので、僕はとことん感情的に演じようと意識しています。

久光については、西郷(隆盛)との会談で面と向かって「地ごろ(田舎者)」と言われたときに、怒り過ぎて吸っていたキセルを歯型がつくほど噛んでいたエピソードなど、人間的なエピソードがたくさん残っている人なんです。

今まであまり語られることがなかった人物だと思うんですが、そういう逸話から、人物の余白みたいな部分を埋めて演じていきたいなという思いがあります。

――久光は吉之助に対してどのような思いがあったんでしょうか?

久光にとっては、俺が尊敬する兄上の意思を継ぐということに対して、どんな人かも分からないような西郷に、異を唱えられるんですから、「ふざけるな」と思ったでしょうね。

「兄上にかわいがられていたかもしれないけど…何なんだよあいつ」って感じたんじゃないですか(笑)。国父に対して「地ごろ」と言うなんて、西郷はよく斬られなかったなと思いますよ。

現代では、西郷は偉人として有名ですが、当時の西郷と久光は地位が圧倒的に違うんです。だから、二人の距離感は大切にしたいと思っています。

西郷と久光は二人とも斉彬の背中を追っているんですけど、そのアプローチの仕方が違うだけなんですよね。

――斉彬と久光の兄弟の関係性についてはどう思いますか?

斉彬は久光のことを評価していたそうですし、実は久光の方が政治的手腕は高かったという見方もされている部分があるんです。

仲が悪かったイメージがある方もいらっしゃると思いますが、「西郷どん」では、ちゃんと斉彬が久光に一目置いていた部分のエピソードも描かれているので、そこは大切に演じようと思っていました。

久光は兄上の影響を大きく受けながらも、母の由羅(小柳ルミ子)が起こした「お由羅騒動」などの渦中にいた人物でもあるので、家族に対しては複雑な思いもあったんじゃないかと思いますね。

――そんな、強い思い入れのある斉彬の死は、久光にとって大きなものだったんでしょうか?

斉彬が考えていたことも分かっていたと思うので、斉彬の次に自分が藩主になるかもしれないなら、幕府一局になっているところに風穴を開けて、薩摩の存在を日本中に知らしめようと考えていたと思います。

――久光は兄が亡くなった後でも冷静に世を見ていたということでしょうか?

現代に生きる人間と心の強さがまるで比にならないと思うんです。久光は「お由羅騒動」で近くの者たちがどんどん亡くなっていたり、そんな時代を生きている人物なので。

斉彬が亡くなったことは、単純に悲しいことであったと思いますが、兄上が進めていたことを自分なりの解釈でまた続けていこうと考えていたと思います。

だからといって、久光の考え方は全て斉彬と重なっていたわけではないんです。斉興(鹿賀丈史)の「島津家を立て直したい」という考え方なども合わさっていて、久光なりの考えがあったんではないでしょうか。