山崎賢人が主演するドラマ「グッド・ドクター」(毎週木曜夜10:00₋10:54、フジテレビ系)が好評だ。放送済みの第1話・第2話はいずれも視聴率2桁をマークし、自閉症スペクトラム障がいとサヴァン症候群という特性を持つ主人公・新堂湊を演じる山崎への評価も高まっている。
本作で描かれるのは、日本の全医師に対してたった0.3%しかいないという小児外科医の世界。湊は「すべての子どもを大人にしたい」という思いを胸に、病院のルールや人間関係の中でもどこまでもピュアに患者の子どもたちに向き合っていく。
そんな「グッド・ドクター」の世界観を作り上げるのが、美術デザイナーの宮川卓也さんだ。宮川さんに、本作でのセットのこだわりや注目ポイントを聞いた。
湊がレジデント(後期臨床研修医)として働く東郷記念病院小児外科は、白を基調にしつつも青やピンク、オレンジなどカラフルな色に満ちた楽しげな空間だ。壁には木と空、そして動物たちのイラストが描かれ、入院する子どもたちの笑顔がはじけるプレイルームには、退院していった子どもたちの手形で作った虹のウォールペイントも。
画面で見ていると本物の病院施設で撮影しているようだが、実は小児外科のシーンはすべてスタジオ内に建てられたセットで撮影している。
「今回、こだわったのは全体的な色味と空間の作り方です。ベースになっているのが白と明るい木目。小児外科ということで、明るく爽やかな感じを意識しました。今回、壁画のキャラクターは外部の方にお願いしました。その際も、木と空があって、そこに虹がかかって、というイメージは最初から決まっていました」と宮川さん。
プレイルームに置かれたおもちゃもどことなく洗練されておしゃれな雰囲気。聞くと、「北欧の小児外科をイメージしています」という。
「監督とイメージを話す中で、国内の小児外科を見学させていただき、さらに国外の小児外科の資料も見ていったんですが、その中に北欧の小児外科の資料もあって。明るくて清潔感があっておしゃれで温かみもあって、こんな雰囲気があるといいよね、ということで取り入れました。おいてあるおもちゃも北欧のテイストのものを取り入れています」(宮川さん)
かくして、おしゃれで温かいイメージの東郷記念病院小児外科ができあがった。撮影が始まり、スタジオに入ったキャストたちからは、歓声が上がったという。
ドラマでは手術シーンも登場するが、手術室にも「グッド・ドクター」ならではの工夫が盛り込まれている。
「プレイルームや病室よりは暗いイメージで、明かりも落としています。工夫した点としては、普通はないんですが“天窓”から自然光が差し込む造りになっています。シリアスな手術シーン、普通は下からあおって撮影することが多いんですが、そこに上から降り注ぐ光があることで、“光を感じる”“未来や希望を感じさせる”という意味を込めています」
ここにも、「すべての子どもを大人にする」という湊の思い、作品のメッセージが具現化されている。
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