2014年、沖縄出身のガレッジセール・ゴリが立ち上げた「おきなわ新喜劇」。実に50年の歴史を誇る「吉本新喜劇」に、沖縄の歴史や文化を取り入れた、この“沖縄を笑って学べる新感覚の演劇コンテンツ”が、今秋、5度目の全国ツアー「心がつなぐアロハイサイ!」を開催する。そこで今回は、本ツアーの見どころを聞き出すべく、座長のゴリを直撃。旗揚げ以来、全公演の作・演出を務める彼が、おきなわ新喜劇の“来し方行く末”を語る!
――おきなわ新喜劇も、ついに活動5年目に突入しました。旗揚げした当初と比べて、変わってきた部分はありますか?
「強いて言えば、若手がしっかりしてきたことですかね。だって旗揚げのとき、ありんくりん(おきなわ新喜劇の座員を務める、ひがりゅうたとクリスによるお笑いコンビ)なんて、芸歴1年目ですよ? 吉本新喜劇さんなんか、5年以上在籍してても、“客A”として冒頭に出てきて、1個ボケて、それで出番終わり、みたいな世界じゃないですか。でも、うちはメンバーが少ないから、1年目のありんくりんが、ちゃんと名前の付いた役を与えられるわけですよ。ほかにも、舞台上の立ち位置から間の取り方まで、一から教えないといけないメンバーがほとんどで、最初のころは舞台を1個作り上げるのにすごく時間が掛かったんですけど、今はそれなりに腕は上がってるし、度胸も据わってきてるので、稽古の時間はだいぶ短くなりました。みんな、おきなわ新喜劇の定期公演(毎週日曜日に「よしもと沖縄花月」で公演)だけじゃなく、平日もほぼ毎日、沖縄花月の舞台に立ってますからね、すっかり頼もしくなりました」
――旗揚げのとき、ゴリさんは「笑ってもらいながら、沖縄のことを学んでほしい」とおっしゃっていましたが、そのコンセプトは今も変わらず?
「はい。ただ、単なる勉強会にはしたくないので、『今日は、この知識だけは持って帰って』みたいに、学ぶポイントは1回の舞台につき1つに絞っています。例えば空手の回(2015年・第2回おきなわ新喜劇ツアー「空手フリムン一代!」)だったら、これだけ世界中で親しまれている空手の発祥の地は沖縄なんだよ、と。それだけでいいんです。それさえも知らない方がほとんどだと思うので」
――では、9月から始まる「第5回おきなわ新喜劇ツアー『心がつなぐアロハイサイ』」の“学ぶポイント”は?
「今回は『ハワイから豚がやってきた』っていう史実をベースにしています。かつて沖縄からたくさんの人が世界中に渡って移民になったわけですけど、その中で、ハワイに移り住んだ人たちが、戦争で焼け野原になってしまった沖縄を心配して、みんなでお金を出し合って豚をプレゼントした、というエピソードがあって。沖縄の人間からしたら、自分たちの歴史として既に常識になっているようなお話なんですけど、全国のみなさんにも知ってもらえたらうれしいなと」
――物語のあらすじは?
「簡単に言うと、ハワイ移民の5世の兄弟が沖縄にやってきて、おばあちゃんを探す、というお話です。そのおばあちゃんは、もともとハワイにいたんだけど、数年前におじいちゃんと離婚して、一人で沖縄に戻っていったと。で、そのおじいちゃんが亡くなるときに、おばあちゃんに手紙を遺していて、その手紙を渡すために、孫たちがおばあちゃんを探しに沖縄にやってくる。沖縄の人たちは、そんな彼らの事情を知って協力するんだけど、クセの強い人ばかりで。さて、おばあちゃんを見つけることはできるのか…というドタバタ喜劇です」
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