脚本作りも稽古も「全然面白くない」? ガレッジセール・ゴリがおきなわ新喜劇を続ける理由

2018/08/29 12:15 配信

芸能一般 インタビュー

本当にただただ苦しいんだけど、お客さんの笑い声を聞いた瞬間、オールOKになっちゃうんです


「時間があったら吉本新喜劇さんを観て勉強してます」というガレッジセール・ゴリ。「観てると頭が下がりますよね、みなさんうますぎて」


――おきなわ新喜劇にとっても、ハワイ公演は一つのターニングポイントになるのでは?

「そうですね。ただ、ハワイで舞台をやれるっていう楽しみと同時に、“旅行”としても楽しみにしている劇団員がほとんどで(笑)。『自由時間あるのかな』っていうことばっかり気にしてますね。この前のオーディションで入ってきた、(仲地)智子と(宝眞榮)日也美っていう新メンバーの女の子2人は、今回初めてツアーに参加するんですけど、彼女たちからしたら、入ってまだ半年も経ってないのにハワイに行けちゃうっていう。吉本新喜劇の若手からしたら『ふざけんな』って話ですよね(笑)。あと、ハワイだけじゃなくてね、僕と川田以外のメンバーは全員沖縄在住だから、東京や大阪での公演にも、彼らの中では旅行っていう要素が一個乗っかってるんですよ(笑)。たぶんみんな、時間が空いたら観光しようって思ってるんじゃないかな。でも、全然いいんですけどね、それで。旅行でも何でも、この劇団の団結力が固まっていくことは、僕が目指していることの一つなので」

――ゴリさんも、今回のツアーは楽しみでしかない、という感じですか?

「うーん…僕は、『日本語の字幕どうしよう』とか、『字幕だと、お客さんは読んでから笑うだろうから、笑い声が収まるのを待って、セリフを割った方がいいのかな』とか、そういうことばかり考えちゃうんですよ。これが番組のロケとかだったら、僕も『自由時間あるのかな』ってなるんだろうけど。やはり僕にとって、おきなわ新喜劇は、いつもとは目線も意気込みも変えて取り組んでいるものなので。

要するに座長としては、常に今置かれている状況の次のことを考えてしまうんですね。『もっとこの劇団を知ってもらうには』『もっとお客さんを増やすには』、そういう裏方的なことも考えながら。だから、おきなわ新喜劇に関しては、ただ自分が演者として呼ばれる仕事とは、やっぱり違うんですよ。もちろん自分がウケたらうれしいんだけど、他のメンバーがウケるのも喜びなんですよね。一生懸命話し合って考えたギャグがうまいことハマったら、舞台が終わってすぐそいつのところに行って『よかったな!』って言いますもん。何ならもう、暗転中に言いますよ、一幕と二幕の間に(笑)」

――ちなみに相方の川田さんは、この劇団にとってはどういう存在ですか?

「川田の存在…なんか、遊びに来てるなって思います(笑)。舞台の上で楽しそうですもん。後輩をいじって、ケラケラ笑って。スベってる後輩がいたら、一人でうれしそうに笑ってるし」

――(笑)。若手の面倒を見るのは、やはりゴリさんの仕事なんですね。

「うん、そこは主に僕の担当かもしれないです」

――映画監督の経験もあるゴリさんですが、舞台を作る楽しさとは?

「やっぱり、快感がその瞬間に味わえるというか。これがもう、やみつきになっちゃうんですよね。『こんな風にやろうか、あんな風にやろうか』って散々考えて、何度も稽古して、『ウケるかな』って不安になりながら本番を迎えて。で、最後にドカーンとウケたときは、もうね、『キター!』って、ドーパミンがドバーッて出るんですよ。

要は、おきなわ新喜劇って、結局はこのドーパミンが欲しいがために苦労してるみたいなもので。もっと言うと、本を書いてても稽古してても、全然面白くないんですよ(笑)。本当にただただ苦しいだけで。でも、そんな苦労も、お客さんの笑い声を聞いた瞬間、『やったー!』って、オールOKになっちゃうんです」