高校時代はダンスがすべてだった。午前7時半からの朝練、放課後の練習はもちろん、昼練もほぼ毎日というダンス部の練習に打ち込んだ。夜10時に就寝して深夜1時に起き、早朝5時まで勉強し、6時まで仮眠し、ダンスの練習に向かうという毎日だったという。既に女優業も始めていたことから「ダンスで表現力を磨いていけば、演技にもきっと役立つ」という確信もあった。今季の「チア☆ダン」(TBS系)のヒロインはこれ以上ない当たり役になるはずだ。
彼女が最初に大きな注目を浴びることになったのは、そんな高校時代に出演したドラマ「鈴木先生」(2011年テレビ東京系)だろう。コマにぎっしり文字が敷き詰められた武富健治原作の漫画を古沢良太脚本で見事にドラマ化したものだ。そこで土屋は生徒でありながらヒロインともいえる小川蘇美を演じた。長谷川博己演じる鈴木先生が、「カミサマ」と崇めるミューズだ。美少女で優等生でクールで強い。完璧な少女というある意味難しい役どころ。そんなヒロインを抜群の説得力で演じ切ったのだ。その後の彼女の活躍も「小川蘇美」味がある。名前の通り、たおやかさを持ったミューズだ。
彼女の「心の師匠」は出川哲朗だという。彼の「カメラは待つものじゃない。映りにいくものだ」という言葉を大事にしている。たとえ重要な役でも「引き寄せる」意思がなければ本当の意味でカメラに映ることはできない。常に必死でストイック。だからこそ、彼女はみんなのミューズとなることができているのだ。
(文・てれびのスキマ)
◆てれびのスキマ=本名:戸部田誠(とべた・まこと) 1978年生まれ。テレビっ子。ライター。著書に『1989年のテレビっ子』『タモリ学』『笑福亭鶴瓶論』など多数。雑誌「週刊文春」「週刊SPA!」、WEBメディア「日刊サイゾー」「cakes」などでテレビに関する連載も多数。2017年より「月刊ザテレビジョン」にて、人気・話題の芸能人について考察する新連載「芸能百花」がスタート
◆てれびのスキマ◆1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌「週刊文春」「週刊SPA!」「TV Bros.」やWEBメディア「日刊サイゾー」「cakes」などでテレビに関する連載多数。著書に『1989年のテレビっ子』『タモリ学』『笑福亭鶴瓶論』『コントに捧げた内村光良の怒り』など。新著に『全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方』