席亭・毒蝮三太夫に聞く、ナイツ、春風亭一之輔、神田松之丞が集う寄席の魅力

2018/09/01 10:09 配信

芸能一般

「マムちゃん寄席」席亭を務める毒蝮三太夫撮影=阿部岳人

第十五回の出演芸人は圧力!?


――第十五回の出演芸人さんについて聞かせてください。

若手では一之輔、松之丞、ナイツ、大人気の芸人ですよ。だけどこれは圧力で(笑)、出てもらうことになった。独演会もそれぞれ満員にできるからね。ヒロだってきっぷ(チケット)が取れない、二楽も結構なもの。豪華な顔ぶれですよ。

このあいだ、松之丞の番組に出たんだよ。バーターで(笑)。松之丞は俺のラジオをよく聞いてるって言ってた。今二つ目で、これからどうなっていくかね。講釈は覚えれば誰でもできる、だけど誰でも人気者になれるわけじゃない。客が呼べる魅力があるかどうか。

だからよくやってると思うよ。ただ、まくらとか毒舌でウケちゃうとやり続けるのは大変だから、どう本物になっていくかだね。自分のナチュラルなもので売れてるならいい。作ったもので売れるのは怖い。松之丞も地でやってるならいいよね。

――今回は、戦争の話もされますか?

永さんとの対談では毎回出てたね、憲法9条の話。きたやまおさむさんともよくしてた。永さんは戦争疎開してらして、俺は空襲受けた方。永さんは戦争の話をしたがってたね。そんな話をする寄席って珍しいよね。

憲法9条改訂とか、「そういう憲法はよくないんです」(永さんの顔マネをしながら)って、永さんはいつも怒ってるわけ。具合悪くても怒る。憲法変えちゃいけない、憲法守れという立場。俺が、でもあの憲法は米軍から押し付けられた憲法だっていううわさじゃないですかって話を振ると、「押し付けられたって良いものは良いんです!」って大きな声で言うの。そしたら客席がシーンとしちゃった。

押し付けられた憲法だけれども良いものは良いんだっていうのは、永さんは非常にバランスのとれた人なんだなと思ったね。だからマスコミの世界でああやって生き長らえたんだと思う。

――「第二部」、大沢悠里さんとの対談が楽しみです。

今回の“お土産”としてね。会場の人が、時間が余っちゃうから、会場側が使ってくれって(笑)。だからお土産。

――大沢さんとも戦争の話をされますか?

したいなって思う。俺はノンポリだけど、やっぱり戦争の話はしていかなきゃなんないね。空襲を知っているからよけいに。

大沢悠里ちゃんも空襲を見ていた人だから。4つの時にお母さんの背中で。90いくつで亡くなったお母さんね。

「マムちゃん寄席」のメンバーを見ても、戦争や憲法9条の話ができるのは、俺と悠里ちゃんしかいないと思うのよ。だから俺たちは語り続けていかなきゃいけない。満員の会場で、そういったことを言い続けるのは良いことなんだなと思いたいね。

毒蝮三太夫の話芸と真心に触れる


有力芸人の珠玉の芸を一度に楽しめる「第一部」と、ラジオ界を長きにわたって支え続ける巨人同士が相まみえる「第二部」。「マムちゃん寄席」は、いつもラジオで届けられる明るいキャラクターとはまた違う毒蝮三太夫の話芸と真心に触れられる貴重なイベントとも言える。チケット発売は9月1日(土)から。