山田孝之&菅田将暉「dele」“デジタル”というモチーフのウラガワ『くさびを一つ打っておきたかった』

2018/09/14 12:00 配信

ドラマ

金曜ナイトドラマ「dele」が9月14日(金)に最終回を迎える(C)テレビ朝日

“小説家・本多孝好”脚本のウラガワ


最終回は、第1話、第5話に続き3度目の本多氏による脚本。原案も担当する本多氏が「原作に一番近い回」と表現するように、“小説家・本多孝好”のスピリットを最も色濃く反映しているのがこの最終話だ。

本作で初めて脚本に挑戦したという本多氏だが、スタッフ側に不安はなかった。「記号的ではない、人間を描くということにおいては、作家として圧倒的な才能をお持ちですし、脚本にちょっと変更をお願いすると、直しを越えたクオリティーで、世界観を構築し直した脚本を提出しててくださることが多々あり…本当に驚きでした」と山田P。

一方、本多氏からは「あの時期は本当に働きました(笑)」と“本音”もチラリ。本多氏は、小説と脚本の違いについて「難しかったです。使う“言語”が全く違うので。平行して小説も書いていたんですが、続けての作業は無理でした。

小説家が描こうとすることと、脚本に書かなきゃいけないことが違っていて…本当に難しかったですね」と振り返る。

本多氏脚本の3話に共通する特徴がある、と常廣丈太監督は言う。「回想以外のほぼすべてのシーンで圭司か祐太郎が存在しているんです。他の回には、2人が知らないところで話が進んでいるシーンがあるんですが、本多さんの脚本は、2人のどちらかが必ずいるんです。

この『dele』という作品は基本、圭司と祐太郎が世界をどう見ているのか、起こったことに対してどう影響を受けるのか、ということを描いている。僕はそう思っています」(常廣監督)

「本多さんにしか描くことができない物語」


そうして作られた濃密な脚本を、スタッフが技術を集結して映像化していった。最後のエピソードで中心に据えられたのはやはり、圭司と祐太郎それぞれの家族にまつわる物語だ。

「圭司と祐太郎とはこれがお別れになるわけですから、もう一度2人のキャラクターを再認識してほしかった回でもあります。2人がどう見えるか、ということに心を砕きました」(本多氏)

“記録”にこだわり“消すこと”をなりわいとしてきた圭司と、“記憶”にこだわり“消すこと”の怖さを訴えてきた祐太郎。一見、ウラと表のように対峙(たいじ)してきた2人は、最終話で自分の信念をもう一度見詰め直す。

「最終話は本多さんにしか描くことができない物語だと思います。ぜいたくな時間がそこにあります。本多さんが書いたセリフと、山田さん、菅田さんの表現力。それが最終話でさく裂して、あるシーンにおいては私も監督も思わず涙が出ていた…撮影時にそんな状況も生まれていました。」と山田Pは明かしてくれた。

関連番組

関連人物