――最初に廉子さんとして実際に楡野家にいたことが、ナレーションをするうえで効果的になっていたりしますか?
ありがたいことに私がいなくなっても、カエルとなって出していただけて。 天と現実世界の皆さんとの間を自由に行き来するというポジションで、とても楽しかったですね。
最初に廉子さんとして実際に演じていたベースがあったことで、ナレーションでも表現の幅が広がったのではないかなと思います。
廉子さんとして、ベクトルがビュッと上がったのは、秋風羽織さん(豊川悦司)が出てきた時に声をかけた時ですね。そういうのは普通の本ではなかなかできないことで、朝ドラの長いスパンの中での遊びの部分として出せたので、私としてはとてもやりがいがあって楽しかったです。
――夫である仙吉さんを演じる中村雅俊さんのご印象は?
中村さんは立派な大黒柱と言うか…ドラマの中では鈴愛が柱なんですけど、仙吉さんが楡野家のベースになっていたなと思います。存在感がありますよね。そんな仙吉さんがいたから、廉子さんがこういう人でいられたんだと思います。
鈴愛の片耳が聞こえなくなったって家族で落ち込んでるシーンでは、廊下で体育座りしている仙吉さんが印象的だったんですけど、なかなかあんなかっこいい座り方にならないぞと思いました。
まどろんでいる姿も絵になるかっこいい方ですよね。仙吉さんの歌で心が救われたシーンもありましたね。鈴愛との電話でのやり取りで、姿が見えない中で仙吉さんが歌っているだけであんなに説得力のあるシーンになるというのは、素晴らしいですよね。
――廉子さんとして鈴愛をずっと見てきて、思い出深い場面はどこでしょうか?
小さかった鈴愛が高校生になって登場した時はときめきましたね。物語にリズム感も出たと思いますし、声の方向を探して振り返ったり、校舎を走ったりする描写に感動しました。
北川さんは親子の直接的な触れ合いを大切にされていて、母親の愛情を受けて鈴愛が育ったんだなというのが随所で感じられましたね。
痛々しさを感じてショックだったのは、鈴愛と涼ちゃん(間宮祥太朗)との夫婦喧嘩です。朝ドラなのかと思うほど…70年代のドラマを見ているぐらいの切なさを感じて。あそこは鈴愛の成長をすごく感じますよね。全ての感情を表現できているし、母親としての鈴愛がいるんです。
いつも、鈴愛を見ていると「参りました!」と思うんです。「立派に育ってるわ」と。
――約10カ月、ヒロイン・鈴愛を演じた永野さんへかけてあげたい言葉はありますか。
色のついてない女優さんだった芽郁ちゃんが、“鈴愛”という色がついてきたというところですよね。才能のある方なので、今後が楽しみです。
表現力の可能性が広がるとても良い環境で、朝ドラはてとも良いところだなと思いました。芽郁ちゃんが素晴らしいのはもちろんですが、それに気づいていたプロデューサーさんと演出の方も素晴らしいです!
本当に喝采を送りたいほどです。まだまだ変身を遂げていってほしいです。これから皆さんが芽郁ちゃんとお仕事したいと思うだろうし、忙しくなって大変だろうけど、もっと色んな芽郁ちゃんを見せていただけたらと思います。
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