田中れいな主演「ふしぎ遊戯~蒼ノ章~」開幕!「人見知りで最初は心の距離があったけど」笑いの絶えぬ仲間と作り上げた完結編。歌唱、殺陣、コメディと演者、原作の魅力を凝縮!!
歌とアクションとコメディと
歌は、観客に刺さる大きな武器。インタビューにて、今回は前作以上に歌の比重の大きい構成と教えてくれた通り、全編通して歌唱シーンは満載だ。しかし、「ミュージカルはちょっと苦手」という方のために加えておくと、ひたすら歌っているというわけではない。物語は芝居のパートでしっかり見せられ、芝居と芝居を繋ぐ形でロングなりショートなりの歌唱やダンスが入ってくる。
劇が歌に押されている印象は全くないが、それならどうして歌満載なのか? それは短いひと言の台詞も歌うからだ。会話の中、大切な言葉だけをメロディに出していく。歌として強調されることで、言葉により思いが乗って、美朱、鬼宿たちの心を伝えてくる。2人が中心の物語だが、フィーチャーされる演者それぞれに歌が付き、その心情を強調する。ミュージカル経験豊富な役者が揃い、男女の声の混ざり合う様は大きな聞きどころと言えるだろう。
そして、アクションとコメディ。「ふしぎ遊戯」はファンタジーラブロマンスだが、アクション劇でもあり、絶妙なコメディでもる。美朱を守る朱雀七星士と、唯を守る青龍七星士の戦いは常にアクションとなり、徒手空拳の鬼宿、剣士の星宿(ほとほり)と心宿(なかご)、ハリセン(本当は鉄扇)を武器にする翼宿(たすき)など、劇伴に乗る殺陣は歌唱と並ぶ注目シーン。星宿役の谷佳樹の剣捌きは流麗で、ファンを掴んでいるのも納得という様だ。
また、田中が「おふざけたくさん」とコメントした通り、コメディは随所に、特に朱雀側はアドリブなのかどうなのか?というシーンが満載だ。シリアスと立ち直りの境目、感情の上げ下げが難しいとも語っていたが、その境目にコメディが入ることで違和感を笑いに変え、長い原作の物語を2時間30分の劇で上手く演出しているという印象もあった。
ちなみに本公演は二幕構成だが、二幕開始直後に行われる井宿(ちちり・葉山昴)のショートコントは必見。観劇の際は、ちゃんと井宿のお願いに乗ってあげてほしい(もしかしたら毎公演違うのかも?)。
妖しい悪の華・輝馬演じる心宿
最後に、田中が注目の共演者として挙げていた輝馬について。輝馬演じる心宿は唯を操っているいわば悪の元凶的な存在だが、ただの“悪いヤツ”ではなく、今の心の形成に至った哀しい過去を持っている。そして、非常にドキドキさせてくれる存在でもある。
寿里が演じた前回の心宿は力強さ前面という風だったが、輝馬の心宿は男の色気のある、どこか妖艶でもあるという様。今回、彼が見せるシーンでその妖しい色気が目を奪い、心宿の暗い心は、陽気に包まれる朱雀側とのギャップを映し出してくる。花奈澪演じる房宿(そい)が寄せる、届かぬ悲しい恋にも注目してほしい。
「ふしぎ遊戯」は10月21日(日)まで、東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて公演。前作未見でも問題ないが、やはり続編に至るまでの流れを知っていると感情移入は深くなってくる。手元に前回DVDがある場合は、それで心を高めてから観劇に向かうと良いだろう。
取材・文:鈴木康道
10月13日(土)~10月21日(日) 全15公演
劇場:全労済ホール / スペース・ゼロ(東京都渋谷区代々木2-12-10 全労済会館1階)
【HP】www.39amipro.com/fushigi-ao/
【Twitter】@amipro_info
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