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実際の裁判映像×ミステリー! 立ち上げ人が明かす“面白い”の仕掛け

2018/10/26 18:30

1997年にフジテレビに入社後、「情報プレゼンター とくダネ!」(1999年~)、「たけしの日本教育白書」(2005~2010年)、「ハッケン!!」(2006~2008年)、「直撃LIVE グッディ!」(2015年~)などの情報番組の制作に携わってきた荒木勲氏。2009年からの3年間はニューヨーク支局へ赴任しており、そこで見た法廷中継をもとに企画を立ち上げたのが、「世界法廷ミステリー」だ。10月27日(土)、その第10弾として「世界法廷ミステリー10 死者からのメッセージ」(夜9:00-11:10)が放送される。

「人の感情を電波に乗せることがテレビの役割」と話す荒木氏の足跡や、情報番組をはじめとしたテレビ界の現状、そして未来像を聞いた。

「世界法廷ミステリー」を立ち上げた荒木勲氏にインタビュー
「世界法廷ミステリー」を立ち上げた荒木勲氏にインタビュー撮影=七五三木史織


事件取材と推理小説好きが企画のベースに


――荒木さんは入社当時から情報系の志望だったのでしょうか?

最初はスポーツ志望でしたね。1997年の入社で、研修のあとに総務に配属されたのですが、現場に出たいと思うようになり、希望を出していたら情報制作局に配属されました。名称は変わりましたけど、3年目からはずっと今のセクションで情報番組を作っています。

最初は「スーパーナイト」という森本毅郎さん、小島奈津子さんがMCをしていた番組に就いて、よく事件取材に行っていましたね。ディレクターになって企画をやるようになってからも、犯罪系の番組の企画を作っているのは、当時の経験と、昔から推理小説とか好きだったのがベースにあるかなと思います。

――当初、大変だったことは?

他の番組とは違ったものを撮らないといけなかったので、それが大変でしたね。ある事件で服役を終えた元受刑者が出所する際、名古屋で新しい住居を建設中だという話があり、名古屋中の建設現場をまわったこともありました。結局、名古屋には来なかったです(笑)。そういう傍目には無意味だと思うことが多くて大変でしたけど、大変さと楽しさが表裏一体でしたからね。

――荒木さんはニューヨーク支局にも赴任されていますね。

2009年の夏から3年間、ニューヨーク支局にいました。自分から希望を出して赴任したんですけど、特に海外志向が強かったわけでもないんですよね。英語もしゃべれないので、ただなんとなく「行ったら楽しいのかな」っていう気持ちで、家族を連れて行きました。

――ご家族も一緒となると、相当な覚悟ですよね。

会社を辞めて一念発起していく方もいますから、それと比べたら会社のバックはあるし、ビザも取ってもらえるし、深い考えがあったわけではないんですよ(笑)。そこでは、報道ではなく情報制作のニューヨーク支局だったので、「めざましテレビ」内の「OH!MYニューヨーク」や「とくダネ!」のニューヨークコーナーとかで扱えそうなネタを取材していました。松井秀喜選手がMVPを獲った時(2009年のMLBワールドシリーズにて、ニューヨーク・ヤンキースに所属していた松井選手が優勝に導く活躍でMVPを獲得)とか、チリ鉱山落盤事故(2010年)、その他にも地震や日本人が巻き込まれた事故などを取材しました。

1年くらいが経った頃、「とくダネ!」で週1回、15分くらいのコーナーを持つことになり、アメリカの事件を扱うようになったんですね。アメリカには法廷の映像があるので「とくダネ!」でも法廷ネタを取り上げることが多く、これで番組になるかなと思ったのが、「世界法廷ミステリー」(2012年~)の企画を書くきっかけですね。

法廷生中継の専門チャンネルも


――アメリカでは法廷にテレビカメラが入り、その様子が生中継されるんですか?

州によっては撮らせないところもあるんですけど、注目の事件だと生中継されます。専門チャンネルで毎日放送されているし、CNNでも大きな事件は撮っています。そのあたりは日本と全然違いますよね。

――世界各地の事件を扱う番組は少なくないですが、「世界法廷ミステリー」はどう差別化していますか?

やはり、法廷など実写の映像を可能な限りかき集めている点ですね。収録しに行っている裁判もありますし、なるべく被告や当事者が話しているところをリアルに見せることだと思います。取り上げる事件の基準としては、もちろん他で取り上げていないということと、あとは謎があって、裁判内で完結していること。悪い人がいっぱい人を殺しました…というだけでは番組として構築しにくいので、どうしてこの人が、こうなっちゃうんだろうっていう謎があり、それが裁判内で明らかになるということですね。

――今回で10回目となる「世界法廷ミステリー」のテーマは?

サブタイトルは「死者からのメッセージ」で、いわゆるダイイングメッセージがテーマ。アメリカだとダイイングメッセージが残されていることが比較的あって、壁などに何かを書くんですね。被害者が死ぬ間際に書いたり、犯人らしき人が歪んだ思いを吐露したり。

ダイイングメッセージはミステリーの王道でもあるので、これまでにも増して見やすい内容だと思います。“なんでこんなことを書いたんだろう”と考えるでしょうし、“誰が書いたのか”という謎もあります。それらがすべて裁判で明らかになるので、視聴者の方も腑に落ちるのではないでしょうか。

――例えば前回放送の「スレンダーマン」の事件では、加害者が未成年にも関わらず、名前や顔が公表されていましたが、そうした日本の法律や裁判との違いも見どころのひとつかと思います。

確かに、「こういう裁き方するのか」っていう驚きは、あると思いますね。裁判員に選ばれたとして、「自分だったらどう裁くか?」という見方でも楽しめるのではないでしょうか。

【写真を見る】とことんリアルに! 実際の法廷映像を使用して番組が作られている
【写真を見る】とことんリアルに! 実際の法廷映像を使用して番組が作られている撮影=七五三木史織


SNS社会、情報番組にどう影響?


――現在、荒木さんは「とくダネ!」の総合演出もされていますが、今の時代だからこそテレビでやりやすくなったこと、逆にやりにくいことはなんでしょうか?

やりやすいことで言えば、昔より情報を集めやすいですよね。その情報が正しいかどうか、精査するのは大変になっていますけど。逆に言うと、独自色が出しづらいです。みんな同じようなものを見つけて来るので。

――長年MCを務めている小倉智昭さんの「ここがすごい!」を教えてください。

自身が苦労されていることもあるんでしょうけど、世の中の多くの人、あるいは弱き者とかの気持ちを極めて普通の感覚で話が出来るのは、すごいと思いますね。あれだけ長くやっていて、今はお金も稼いでいるのに(笑)。

それから、あの歳で元気で、いろんなことを知っていますよね。音楽だスポーツだって、「よくあれだけ頭に詰め込められるなあ」っていうくらい。僕はそこまで広く興味が持てないので、すごいなって思います。

――今後、自身がこれからやってみたい番組、目標などはありますか?

SNSではみなさん発信していますが、それぞれ個人的なニュースを持っていて、ネットを使わない人やおじいちゃん、おばあちゃんの中にもありますよね。市町村になるとかわら版みたいものがあり、県単位になると県の新聞なんでしょうけど、全国ニュースでは扱わないニュースのなかに、面白かったり、考えさせられるニュースがあるのではないかと思います。どう集めるかは難しいですけど、そんな番組が出来たらいいですね

――最後に、今後のテレビ界への展望についてもお聞かせください。

人の感情を電波に乗せることが、テレビの役割だと思うんですよね。ニュースにしても事件にしても、当事者たちの思いとか感情が動かしている出来事なので…。情報の速さやいつでも見られることなどネットの方が上回る面も多いですけど、テレビに利があるとしたら、事件に関わる人たちの感情を拾って、伝えられることだと思います。

取材・文=佐藤ろまん

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

土曜プレミアム「世界法廷ミステリー10 死者からのメッセージ」
10月27日(土)夜9:00-11:10
フジテレビ系にて放送

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