――久光は怒るシーンが多かったと思いますが、そういった撮影は大変ではなかったですか?
最初のころは激しい衝突が多かったので、台本に久光の表情を結構描き込んだりしてました。
口をへの字にしながら読んだりして「ムカつく!」って気持ちを作って、「この顔を覚えとこう」ってメモしたり(笑)。怒りの表現が一辺倒になってしまって飽きられたくなかったので、違う顔を作っていたりもしました。
結構、どのシーンもひねり出していた気がします。何回か撮影すると、シーン自体が長いわけじゃないのに本当に肉体的な疲れ以外の部分の疲労がくるというか…。憎悪や怒りのボルテージを増幅させる作業は大変でした。
でも、その怒りのボルテージがマックスになったのが、11月4日(日)に放送される第41回の、久光が『廃藩置県が断行されて、藩が持っていた花火を一晩中上げ続けた』というシーンだったと思います。
――第41回のシーンは、どのような気持ちで演じられたんでしょうか。
そこは、僕が調べた久光の史実の中で1番素晴らしいエピソードだと思っているので、ドラマでも演じられると分かった時にはすごくうれしかったです。
そのエピソードを知った時に、演じるモチベーション一段上がったくらいにグッときたんです。だから、自分へのご褒美の花火だとも思っています(笑)。
――久光はどんなせりふを言っていても独特な愛嬌があり、視聴者に愛されたキャラクターだったと思いますが、“人の良さ”を意識して演じていたんでしょうか?
いや、そこは意識はしていなかったんですけど、視聴者の方に「ムカつくけど…この人憎めないな」とか「気持ちが分からんでもないな」と思ってもらえていたらうれしいです。
――今回は3作目の大河ドラマになりましたが、今までと違う部分もありましたか?
自分からいろんな提案をできたことは大きかったです。
今までは、大河がどういうものかが分かっていなかったところも多かったんです。だから、とりあえず現場に入って、台本を読んで、先輩方の芝居や佇まいを目で盗んだり、技師さんたちの動きを見ながら学んできました。
3度目なんて、大した回数ではないとは思いますが、いろんな先輩もいらっしゃる中で、アイデアを出していくことが良いことなんだなって分かってきました。
自分が勉強したことを提示して、それが採用していただけた時は面白かったです。
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