―― 自身の役柄についての印象や、演じる上で楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点などはありますか?
岡は曲がったことが嫌いで、真面目で、一生懸命働くときは働く、とにかく真っすぐな男だと思います。ちょっとけんかっ早いところもありますが、戦争というつらい経験をして、帰ってきたら周囲からいろいろと批判され、苦しい思いをしている…戦後の時代に数多く存在していたであろう、男の一人なんです。
岡は、塩作りを担う集団の中でも、特定の同僚に偏ることなく、みんなと分け隔てない関係を築いています。リーダーぶってるわけでもありませんし、いろいろな人とけんかにはなりますが、それをいつまでも引きずることもありません。社長である萬平さんも岡の事を信頼してくださっているので、きっと仕事のできる男なのだと思います。現代にも通じることだと思いますが、言いたいことをはっきりと言う人のほうが、実は仕事ができたりしますよね。
岡も人が嫌いというわけではないと思いますが、戦争によっていろいろと苦しい思いをしてきているので心を閉ざしている部分もあります。「お金がもらえるのなら何でもやる!」という思いで塩づくりに参加してみたら、そこが意外にも温かいところで、時間と共につらい気持ちも薄れてきて、人の温かみを感じていっているのかな…という気はしています。
自分がトラブルを起こしたことについても「気にしないから、明日から頑張ろう」と言ってくれる同僚のみんなに心を動かされ、岡なりにだんだん成長していっているのでしょう。物語が進んでいくにつれて、せりふも柔らかくなっている気はします。
――収録に参加されてみて、現場の印象は?
とにかくにぎやかです。この塩づくりの同僚と共に、現場に入ったら、にぎやかというか、物語のテイストもガラッと変わった青春偶像劇へというか…、空気が変わったんじゃないかなという気はします。
「まんぷく」にはあまり共演経験のある方はいらっしゃいません。安藤サクラさんは、癒し系というかすごく不思議な雰囲気を持った方で、とても気さくで優しいです。長谷川博己さんも、まさに役の雰囲気のままで、落ち着いていて「こんな大人になりたいな」と思う方です。本当にすてきな方々が出演しているドラマだと思います。
――読者の方々へのメッセージをお願いします。
みんなで元気に朝ごはんを食べながら見るのにふさわしい、すてきなドラマになっていると思います。ヒロインの家族だけではなく、塩づくりの男たちを含めて登場人物のさまざまな人間模様が描かれているので、人と人とのつながりの大切さを教えてくれている気がします。
誰とどのような話をしながら食事をするのか…萬平さんの「人間は食べることが一番大事だ」というせりふにもつながっていくのではないでしょうか。
11月5日の放送回からから塩づくりの話が始まって、ドラマの雰囲気もガラッと変わります。朝から元気に男臭く…(笑)。これまでなかなか男臭い“朝ドラ”はなかったと思うので、見てもらえなくなったらどうしよう(笑)。
ふんどし姿の男たちを、ここまでたくさんドラマで見ることはそうないと思いますし、視聴者の皆さんからどんな反響が届くのか楽しみにしています。
福子(安藤)が臨月を迎える中、元々、製塩所で働く従業員たちの世話の大変さに不満をもっていた鈴(松坂慶子)が、身重の福子の分まで働かざるを得ず、我慢の限界に。
ある日、萬平(長谷川)とのささいな口論をきっかけに鈴は家を飛び出してしまう。福子と萬平が鈴を探している中、戦後の焼け野原で食う物に困り、栄養失調で倒れている人々が萬平の目に留まる。それを見た萬平は、困っている人々を救うある新規事業を思いつく。
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