<西郷どん>田上晃吉「全てを築いてくれたのは鈴木亮平どん」今作で得た“3つの財産”

2018/12/02 10:00 配信

ドラマ インタビュー

ある事件をきっかけに、ついに自ら立つことを決意した西郷(C)NHK


全てを築いてくれたのは亮平どんだったんです


――今まで指導してきた鈴木亮平さんの、共演してからの印象を教えてください。

僕は彼には頭が上がりません。心から感謝していますし、いろんなインスパイアをくれた方です。同学年なんですが、ものすごく尊敬している俳優の一人です。

薩摩ことば指導を始めた当初、迫田(孝也)さんと僕の地域が鹿児島の中でも違うので、若干のイントネーションの違いが出てしまってたんです。語学を大切にされている亮平どんが、そのことを指摘してくれました。

さらに、台本のアクセントの立つところに赤く○をつけたものを、僕と迫田さん共通で作っておけば違いが出ないんじゃないか、ということをアドバイスしていただいたんです。

そのおかげで、今まで数多くのキャストの方々を指導させていただいたんですけども、皆さんに納得していただく形にできています。全てを築いてくれたのは亮平どんだったんです。

撮影以外でも深夜までLINEでやりとりしていました。とってもいい関係性を作れたんじゃないかなと思っています。

役作りの面では、本当にものすごいストイックだなというのは、もう皆さんご存知かと思います。僕たちの地元のアイドルで、象徴で、英雄である西郷隆盛を、責任を持って演じてくれていることが、薩摩の人間としてうれしく思いました。

――演じた中で、印象的なシーンはどこですか?

念願かなって、西郷さんと相撲をとることができました。

第5回の、西郷さんと斉彬(渡辺謙)様の御前相撲を見ていて、「僕もあの中で一緒に相撲取りたかった」と思ってたんです。それがやっと叶いました。

中原さんから西郷さんへの思いを表すために、2人の交流としてシーンが追加されたんです。その撮影は、たまらなくうれしかったです。

――田上さんは、過去に薩摩ことば指導も経験されていますし、大河ドラマへの出演も初めてではないですが、今作についてはこれまでと違う思いがあったんでしょうか。

一番最初に、大河ドラマ「功名が辻」(2006年)で、山内家の家臣として一年間出演させていただいた時は、経験が浅かったのですべてが初めてでした。

そこから、「篤姫」(2008)で有村雄助役をやらせていただいて、「龍馬伝」(2010年)では方言指導にも入らせていただきました。

今回の「西郷どん」での圧倒的な違いは、演じるのではなく、演じる人をサポートするスタッフとして、最初から入ったということです。

それに、迫田さんとタッグを組めたことも大きかったです。

迫田さんは役者として第一線で活躍しながら、今回は薩摩ことばを指導することになった方なので、言葉を伝える時に、演じる側の気持ちになって細かく感情を乗せながら、ニュアンスまで伝えられるのでそばで見ていて勉強になりました。

迫田さんと僕と、2月からは辺見十郎太役の持永雄恵くんも加わり、三人態勢で指導をやらせてもらったんですが、僕たちを採用してくれたプロデューサーさん含め制作陣にも感謝しています。

3人とも本来は役者ということもあり、キャストの方々との距離も近く、お互い遠慮することなく確認ができたと思っています。

ただ、自分がいざ出演するとなった時の緊張の度合いも今までとは全然違って、「恥ずかしい」と思ってしまう部分も正直ありました。

おこがましいですが、この作品に注いでいる自分の愛情は、桁違いだと思います。一人一人が去っていく姿を見て、僕は涙が止まりませんでした。「本当にお世話になりました」という気持ちもありますし、寂しかったです。

――スタッフとして客観的に見てきて、その後役者として入った時に、作品の見え方に変化はありましたか?

見てるのと演じるのは別物でした。

僕は、特に監督の後ろに座ってお芝居を見る機会が多くて、それはすごく勉強になりました。カメラの映り方だとか、技術的なことを監督目線で見ることができたんです。

監督から、キャストの方に厳しい言葉がかけられているのも見ましたし、自分が役として出た時にそういう思いで見られているというのも分かったような気がします。でも、そこを考えすぎてもよくないようで、結果的に力が入りすぎてNG出してしまいました。

僕は、この作品に全てを賭けようと思っていたので、ずっと方言指導ばっかりやっていて、1年以上お芝居をしてこなかったんです。

特に大河ドラマって、個人的な思いなんですが、僕の中では“甲子園”のような、特別なステージなんですね。だから、このステージに帰ってきたいという思いで活動してきて、それでこの「西郷どん」に出演することができて…出番の直前は、涙もろい性格なので、ちょっとジーンと来ちゃいました。

――今作は田上さんの俳優人生において、どのような存在になったんでしょうか?

いろんな方のお芝居や、前室での立ち居振る舞いを含めて、どういう風に役を構築していく姿が見られた作品でした。

初期に出演されていた大先輩の風間杜夫さん、水野久美さん、大村崑さん、松坂慶子さんたち、同世代の亮平さんや瑛太くんなど、皆さんがどういうふう撮影に臨んでいるのか、どうせりふを言うのかということを見られたのが自分にとっての1つ目の財産です。

そんな方々とコミュニケーションを取りながら、作品を作ってこれたというのが、財産の2つ目です。

僕自身、方言がお芝居にとってどのくらい重要なのだろうかと考えていたんです。今回指導させていただいている中で、方言は、それによってその土地の匂いがして、キャラクター作りに有効な表現方法であり、とっても大事なパーツなんだなということが分かりました。

あとは、亮平どんが考えてくれた、アクセントの位置に○をつけるシステムには感謝しています。あれはどの方言にも活かせるんです。僕が今後、ほかの方言話すことになったら、これが使えるなって。これが3つ目の財産です。

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