――又吉さんのお話を聞いていると、文化人類学や哲学のお話のようにも感じられます。
そうですね。教えてもらっていることは物理でも、どうしても自分の日常とか自分の思考に結び付けて考えてしまうので…。物理に詳しい方が見たら物理の番組なのかもしれませんけど、そこで起こっていることを自分自身がどう感じるのか、どういう風に捉えるかっていうのは、その人によって変わってくると思うので。
そう考えると、「オイコノミア」よりも難しい番組なのかもしれないですね。経済学って、数字もたくさん出てくるし、そういう面では難しいんですけど、そもそもは人間が社会で生きていくために生まれたものやから、僕たちの生きている世界を読み解きやすい学問なんですよね。でも、植物とか他の生き物とか、月もそうですけど、みんな別に人間のために存在しているわけではないんで(笑)。
でも逆に、その生き物たちのおかげで人間が存在できている、ということもあったりする。そういう意味で言うと、僕らの方からその生き物にもっと歩み寄らないといけないのかなとも思います。
タイトルの「ヘウレーカ」は「分かった」という意味ですし、もちろんスタッフの皆さんが頑張って、見てる人が分かりやすいような番組を作っているんだと思うんですけど、僕は正直、別に分からなくてもいいんちゃうかなと思ってるんです。いや、それは言い過ぎかもしれないですけど(笑)、“何となく分かる”という感覚がいいんじゃないかなと。
何でもかんでも全部分かっているような状況が続いたら、“分かる”っていう言葉自体が存在しなくなるんですよね。ある物事について半分くらいしか分かってない人が、何かを分かったときに“分かった!”という喜びがあるわけで。発明とか発見とか、共感とか、何かが自分の中に入ってくるという感覚は、やっぱり特別なものやから。だから僕としては、毎回見てくださる人たちに「なるほど」と思ってもらえるような番組を目指しています。
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