主演男優賞は賀来賢人! 福田組のすごさは「全員『おれが一番面白いんだ』と…」【ドラマアカデミー賞】
「第99回ドラマアカデミー賞」主演男優賞に輝いたのは、「今日から俺は!!」(日本テレビ系)で金髪ヤンキーの三橋貴志を演じた賀来賢人。やられたら倍返し、悪知恵がめっぽう働く卑怯者にも関わらず、仲間思いの面もあり、「理子ちゃん(清野菜名)を守るために傷だらけになり、伊藤(伊藤健太郎)が来ることを信じる姿に涙しました」「男っぽいカッコ良さがあったからこそ、卑怯っぷりが引き立っていた」と、大きなギャップが多くの視聴者を引きつけた。
「テレビドラマとはこういうもの」と提示できた
――主演男優賞を受賞されたご感想をお聞かせください。
うれしいです。俳優業でこういう賞をいただくのは初めてなので。ありがとうございます。ただ良いものを作ることだけを考えて、みんなで一生懸命頑張っていたので、みんなの思いでいただけた賞だと思います。「今日から俺は!!」という作品で獲らせていただいた賞だと思っています。
――コメディー、アクション、男気溢れるチームワークなど、見どころ満載の作品でしたが、どんなところが人気の要因になったと思いますか?
いろいろあると思いますが、最初から福田(雄一)監督や高(明希)Pと「これは家族向けのドラマだ」ということを言っていて、家族で見られることを番宣でもアピールしていました。ヤンキーものですが、コメディーで熱くてカッコよくてカワイイ、ファミリードラマ。エンターテインメントのすべてが詰め込まれたドラマだったと思います。
「今日から俺は!!」という作品自体の強さは、街を歩いていても感じられました。いろんな方に声を掛けていただいたり、公園で子供に囲まれたりしたこともありました。そういう現象って、映画や舞台とも違う、テレビドラマならではの経験だと思うんです。ネットでの感想ももちろん見ていましたが、街の声を肌で感じられた。テレビドラマとは、こういうものだということを視聴者の方に提示できたのが一つの要因だったのかなと思います。
ハードな役に当初は「3カ月やれるのかな?」と不安も
――三橋というキャラクターは卑怯者だけど仲間思いで、憎めないキャラクターでしたが、賀来さんはどんなところが魅力だったと思いますか?
感情のベクトルがはっきりしているというか、素直じゃないですか。共感出来ない部分もありましたが(笑)、やっぱり一種の憧れというか、三橋というキャラクターにしかできないことをお芝居としてできた。どこかヒーローみたいなところもあれば、子供みたいなところもあって、表情や言動も一貫していないように見えますが、一本芯が通っているところが受け入れてもらえたのかな。それは、福田(雄一)さんの脚本の作り方に秘訣があると思います。
――そんな三橋を演じる際に、賀来さんが大切にしていたことは?
緩急ですかね。コメディーな部分もかっこいい部分も卑怯な部分もあって、その3つの振り幅を大きくしていました。ただ、クランクインの時にはまだ、僕もどうしたらいいか分からなくて…。でも、福田さんに「コメディーパートは、主演だと思わずに全力で一番ふざけてくれ」と言われて。それまでの福田さんの作品だと、主演の人は割と真面目。真面目にふざけたことを言っていたと思うのですが、三橋は全力でふざけるんですよね。その意味で、今作は福田さんの作品の中でもチャレンジだったと思います。
序盤のコメディー部分の振り方は、福田さんのコントロールに乗っかりました。自分では思い切りやって、福田さんに切るところは切ってもらい、足すところは足してもらうという…その後はリズムが掴めてきましたけどね。ただ最初の2週間ぐらいは本当に疲れました。ふざけるところは本気でふざけて、アクションは思い切り動かないといけなかったので、体が付いていかなくなってしまって。「3カ月やれるのかな?」と思うほど、体力を消耗する役でした。
――アクションや顔芸などのコメディー要素も盛りだくさんでしたが、一番きつかったのは?
実は僕、皆さんが思うほど戦ってないんですよ。まず伊藤がボロ雑巾になるほど頑張って、三橋は全部いいとこ取りなので(笑)。だから、アクションは健太郎が頑張ってくれたと思っています。
大変だったのは、何だろう。あ、ビーバー顔! 三橋が怒ったり、悔しがったりするときにキメ顔が欲しいとなり、福田さんに原作漫画を見せられて「これがやりたいんだ。ビーバーだ、賢人!」って言われて、「何言っているんだろう」と思ったんですけど(笑)。最初、全然できなかったんですよ。歯を出しながら、口をすぼめて、その歯を高速で動かすのって、すごく難しいんです。本番直前まで鏡を見て練習ながら、撮影していました(笑)。