小松菜奈や山﨑賢人主演のあの作品も! 今月のWOWOW初放送映画 厳選3作品<ザテレビジョン シネマ部>
文=ミヤザキ・タケル
長野県出身。1986年生まれ。映画アドバイザーとして、映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに多数出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。
今月のWOWOW初放送映画 厳選3作品
皆さま、初めまして。各種SNSやWebメディアでの映画紹介、イベントやラジオ出演などを通して、ひとりでも多くの方と良き映画との懸け橋となるべく活動しております映画アドバイザーのミヤザキタケルと申します。
この『今月のWOWOW初放送映画 厳選3作品』のコーナーでは、各月の初放送作品の中から見逃して欲しくないオススメの3作品をピックアップしてご紹介させて頂きます。 これを読めばあなたのWOWOWライフがより一層充実したものになること間違いなし!のはず...。
『恋は雨上がりのように』('18)
何事にも当たりハズレは付き物。映画もそう、良い作品もあれば悪い作品もある。
あらかじめ見極められるのであれば、誰もが当たりを引きたいに決まっている。ハズレのために1,800円や2時間近くもの時を無駄にしたくはない。そういった意味では、俗に言う"キラキラ映画"であったり、漫画原作の作品などは見極めるのが難しく危険な匂いがプンプンするため、観る対象から外されてしまいがち。
だが、中には面白い映画も当然ある。
オリジナルや小説原作作品に勝るとも劣らない人間模様や葛藤を、時には凌駕してしまうだけの胸の高鳴りを感じさせてくれる映画だって存在する。該当する一本に出逢えない限り"キラキラ映画"などに対する偏見を払拭するのは難しいが、本作こそ、その一本になり得る可能性を秘めている。
原作はビッグコミックスピリッツほかにて連載されていた眉月じゅん先生の人気漫画。怪我が原因で陸上の夢を断たれた高校2年生の橘あきら(小松菜奈)が、バイト先のファミレスの店長であるバツイチ子持ちの冴えない45歳・近藤正己(大泉洋)に恋心を募らせていく物語。漫画原作・女子高校生が主人公・28歳差男女の恋愛などの要素から、「若者向けの作品」「非現実的なストーリー」と危惧してしまう方の気持ちも分かるが、どうか安心してほしい。物語は女子高校生の視点だけではなく、45歳の店長の視点からも並行して描かれていく。決して若者にだけ寄り添った作品というわけではなく、若者が観ても、ある程度の年齢に達した大人が観ても、違和感なく入り込めるだけの間口が広い作品に仕上がっている。
恋愛映画として楽しめるのはもちろんのこと、年の差から生じる些細なボタンの掛け違いの描写によって大爆笑もできてしまう本作。そして、夢を叶えられず足踏みしている者ならば、既に夢を手放してしまった自覚がある者ならば、きっと胸揺さぶられてしまうものがあると思う。描かれていくのは、胸に抱えた「夢」との向き合い方、一歩踏み出すためのキッカケを模索する雨宿りの期間。年の離れた男女の恋模様や、主人公たちが現実と夢の狭間でもがき続ける姿を通し、雨上がりに差す陽射しのような爽やかなきらめきを感じさせてくれる作品になると思います。観終えた後にこんなにも駆け出したくなる映画、そうそうありません。