<試写室>「ラジエーションハウス―」窪田正孝の“真骨頂”ここにあり
主観に満ちたレビュー
まさか“平成最後の月9初回”で、若者の「アンチャン(杏ちゃん)」が聞けるとは…。違うか。気にし過ぎか。
それはさておき、ところどころモノクロになって一時停止する感じとかセピアっぽいナレーションとか、オープニングのタイトルバックとか、「HERO」や「王様のレストラン」を思い起こさせるなーと思ったら、このドラマの演出も鈴木雅之氏じゃないか。なるほど。
フジテレビの名作を手掛けまくった方がタッチしているだけあって、第1話からすんなり入り込みやすい、ちょいコミカル&ちょい“鼻につく”感じだ。これぞ王道のフジドラマ!
まずキャストを見回してみると、ラジエーションハウスというより、バイプレーヤーズハウス?
医者を支える陰で支える存在が放射線技師なら、主演を陰で支える存在がバイプレーヤーだ!とてもいわんばかりに、バイプレ俳優の宝庫過ぎる。
困ったときのエンケン(遠藤)を筆頭に、1月期に主演ドラマが放送された山口、ハマケンをノビノビやれる番手に置き、年に何本連ドラ出てるの?って言いたくなる丸山、浅野、そしてイケメンなのにいじられキャラが似合う矢野も。実に幅広いメンバーがそろったぜいたくなハウスだ。
そんなクセ者ぞろいの中でメインを張るのは、これが月9初主演の窪田。彼はカメレオン俳優というより、憑依型俳優とあえて言いたい。
黙っていればあれほどイケメンフェイスなのに、くねくねもじもじ要素+発言、そして「何ヘアにして」って床屋で言えばそうなるの?ってヘアスタイルにより、絶妙に気持ち悪い感じを出している。
例え知り合いでも知らないフリをしたくなる雰囲気だ。これこそ窪田の真骨頂だろう。(あ、気持ち悪いのが似合うって意味ではなく)
今回のキャラはそれでいて天才だというからタチが悪い。やはり、天才と変人は紙一重ってことか。
個人的には杏ちゃんこと本田の臀部にダイブするくだり、ポージング込みで芸術点はトリプルアクセルクラスだと思った。そして「絶対零度―」(2018年)の時も思ったが、対するバッサーの冷たい視線も国宝級だ。
それに期間限定ブログのカウントダウン動画も話題の鈴木伸之の白衣姿&優しい笑顔も目の保養以外の何物でもない。
男でもあの笑顔には危うく持っていかれそうになるし、広瀬(アリス)が「広瀬です」と名乗るカオス感も嫌いじゃない。
キャストだけでなく、もちろんストーリーもシリアスの中に適度にコミカル要素をちりばめ、かと思えばほどよい具合に人情という名のスパイスも降りかかっている。
まさに走・攻・守、三拍子そろった、“平成最後&令和最初の春ドラマ”で主役を張る作品と言っても過言ではなさそうだ。私、何か間違ったこと言ってる?
うん、一番“平成最後”のフレーズが好きなのは私かもしれない。
文=人見知りシャイボーイ