劇団・動物電気新作公演は女優祭り!
2018年で結成25周年を迎え、小劇場界では古株ともいえる劇団・動物電気。「いつ見に来ても楽しめる“安心感”を近所のおもしろおじさんがお届け!」をモットーに、笑いを提供してくれる。主宰の政岡泰志、主要メンバーの小林健一や森戸宏明らが映像、CMなどで活躍する中、2年ぶりの劇団公演が6月1日(土)から下北沢・駅前劇場でスタートする。政岡に今回の公演について語ってもらった。
――2年ぶりの新作公演ですね。最近は2年ごとの公演が定期的になっているように感じられますが、そのペースは政岡さんや劇団員にとっていい状態ということでしょうか?
動物電気の本公演は2008年まではだいたい年2回行っておりました。このスケジュールだと稽古をやりながら次の公演のこと考えないとなのですね。普通に働いているメンバーもいるしそれはキツイと。なので、公演が終わってから改めて劇場さんにお願いするということに決めたのです。そうなると毎回やっている6月の次は翌年の年末くらいが実は都合よい。ただ、冬の公演は風邪とか心配だしよそう、となると、6月の次は2年後の6月がちょうどよいのです。
――なるほど。今回の新作はいつごろから準備されたのでしょう?
「ブランデー!恋を語ろう」というタイトルは昨年の春くらいに、舞台設定は稽古開始よりだいぶ前に思いつきました。いつもよりいろいろ早く思いついたように思います。稽古を開始すると2年ぶりとは感じないのです。確実に2年たっているのに元号も変わっているのに。冷凍カプセルに入っていたような気分ですね。稽古日誌を読み返すと、毎回同じ日に悩んだりしています。動物電気はお芝居はお約束満載、実は稽古内容もお約束なのだと変に感心してしまいます。
――今回の客演には個性あふれる女優さんたちがそろっていますね。まさに女優祭りです。
新谷真弓さんは20年間動物電気を見てくれているんです。昔はうれしくて新谷さんの喜びそうなネタを選んでやってたりしたんですね、奇面組とか。いつかご一緒させていただきたいとずっと思っていました。ただ新谷さんが20年の間にどんどんすばらしい女優さんになられて。お声がけにくくなってしまったんですが、今回思い切って依頼しました。稽古場では私が迷っていたりすると的確にアドバイスしてくれたりして本当に頼っております。ナイロン100゜Cで共演させていただいて20年目に動物電気に出演してくださる。年月を個人的に感じます。
ザンヨウコさんとは20年以来の知り合いなのですね。動物電気のお手伝いもしてくださっていて。それがあれよあれよと小劇場の女番みたいになられて。顔が広いザンさんには安心していろいろ任せられるし、彼女も昔からウチの舞台を観てくださっていてすごく楽しそう。今回は神秘的な役をお願いしています。
宮下今日子さんに前回初めて出演していただいたことは動物電気の歴史の大事件でした。稽古場の雰囲気がガラリと変わりました。お芝居も格が違いました。私という横暴な独裁者がいる国に正義の女王(宮下さんですね)が降臨し、国民(動物電気メンバー)を救ったのです。ものすごく極端にオーバーに言えば。私は優しい!平たく言えば雰囲気良くなったということです。個人的にもつい話しかけたくなる。大きい。文字通り、宮下さんは大きい。
帯金ゆかりさんは動物電気5回目の出演になります。適度なビッチ感、舞台度胸、オーラ、大好きです。率先して笑い、励ましてくれている。中年になって頑固になっているおじさんメンバーたちに自分が困っていると笑顔で助けてくれる。ホントに我々にとって大事な人です。そしてやはりビッチ感がたまらないのです。
坂本けこ美さんは、私が劇団鹿殺しに出演させていただいた時にご一緒して以来ファンです。ウチに出演してもらえるとは思ってなかったなあ。ジャンルが違うと勝手に思っていた。でも3回目の出演ですっかりなじんでいただけたとこちらは思っております。けこ美さんは可愛いし小さいし動けるし、何より自分のツボなのですね。そして真面目。稽古前に自主練習しましょうと言われて小林健一は戸惑ったらしい。でもそれは戸惑う小林がおかしいワケで。おじさんたちも見習わなくてはいけない。
――彼女たちがそろった稽古場の雰囲気はいかがでしょうか? 女性陣が強いのか、あるいは皆さんしおらしく、男性陣のほうが強い…?
女性陣がしおらしくなんてことは、ありません! 女性上位です。動物電気メンバーも口数が少ないかもしれません。女優さんが椅子に座りおじさんたちは地べたです。これが(女性上位)心地よい! 世の夫婦も女性上位がうまくいくと言いますものね。
――観劇を迷われている読者にメッセージをお願いします。
「動物電気、見ようとは思ってたんですよ」とよく言われます。そんな感じで26年です。ぼちぼちよろしくお願いします。おじさん達が元気なうちに。2年に1回ですので、ホントにお見逃しなく!