佐藤健&高橋一生、佐野勇斗&中条あやみのあの作品も! 映画アドバイザー・ミヤザキタケルが厳選した8月初放送映画3作品<ザテレビジョンシネマ部>
『3D彼女 リアルガール』(2018)
続いて紹介するのは、オタク男子が同級生の美女と半年間限定の交際を始める、那波マオ原作マンガの実写化。他者と関わることで変化していく少年の心模様を通し、真に価値あることはいつだって自分の外側にあることを描いた作品です。
まず始めに、ヒロイン役の中条あやみが反則級にかわい過ぎる! それだけでも見応えたっぷりで、非モテ×リア充の恋模様もコミカルで面白い。多少のツッコミどころはあれど、基本的には笑えてしんみりもできる程良い作品に仕上がっている。ただ、そんな風には受け止められない人間もいる。劇中において「アニヲタでコミュ症で引きこもり予備軍」とさげすまれる主人公のことを他人事だと思えない自分がいた。詰んでいるのだとすれば、「アニヲタでコミュ症で引きこもり予備軍で不安定な職業でアラサーで金もない」、僕ミヤザキの方。リア充やパリピ属性の方には笑って観られる作品に留まるかもしれないが、非モテ&非リア充属性の方にとっては胸を締め付けられる程に切なく、それでいて勇気に満ちあふれた作品に感じられるはず。
待っていたって中条あやみのような美女から交際を申し込まれることなどあり得ない。仮に話す機会が訪れたとしても、まともにおしゃべりなんてできやしない。話し掛けたところで虫けら扱いされるのが関の山。そんな風に自分を卑下することばかりに捕らわれているうちは、他人と本気で接することなど叶わない。だが、主人公の筒井(佐野勇斗)は勇気を振り絞り、自分の殻に閉じこもっているやつでは開けない扉の前に立っていた。映画を観てどれだけ彼に寄り添えたところで、この現実を生きていかなければならないのは、勇気を振り絞らなきゃいけないのは僕たち自身。諸々こじらせている自覚がある方は、是非とも本作を観てほしい。