「ジオウ」から「ゼロワン」へ…スーツアクターがバトンタッチ
印象に残っていること
――高岩さんがこの20年で印象に残っていることは?
高岩:最初の頃、アクションではなくお芝居の部分で監督からのダメ出しが多かったんです。「スーパー戦隊シリーズ」では若干誇張した芝居が表現の一つとしてありまして、それが染みついていたんですね。
それを「ちょっとやめていただけませんか」とよく注意されて、どうしようと思っていた時にうちの社長(JAE金田治氏)が監督をやる回があったんです。その時も社長からいろいろ言われて、言い方は悪いですけどカチンときちゃって(笑)。
「分かりました!もう動きません!」と思っちゃったんです(笑)。動かないと言っても、ただじーっとしているのではなく、感情を作って誇張せず自分の芝居をやったら「それ!」と言われて。動かない、というのもお芝居だなとそこで理解しましたね。
それ以降、自分の感情や思いを先にやろう、そうすれば“マスクの表情”は後からついてくる、と思うようになりました。
縄田:高岩さんのアクションは黄金比だと思っているんです。アクションの斬った軌道とか、抜けた後のたたずまいとか、映像の画角におさまった姿が黄金比と言っていいぐらい見栄えがいいんです。
アクションの美しさはもちろんですが、高岩さんの演技からは表情を感じるんです。マスクは能面のように表情がないはずなのに。
僕も演じていて動ぎ過ぎてしまった、という時もありますし、芝居を動きでカバーしようとしてしまう時もある。そういう意味で今のお話を聞いていると、高岩さんはさすがだなと思いますね。