豪商の跡継ぎを産むことを強いられたストレスで、若き画家と許されぬ恋に落ちる主人公の人妻を、アリシア・ヴィカンダーが演じる。スカヨハに引けを取らぬほど、まさにフェルメールの絵画の中にいても全く違和感のない、清楚ながら芯のありそうな魅力的な女性を表現している。
1890年以降の世紀末芸術を代表するアーティストであるクリムト、そしてエゴン・シーレにも関連映画がある。
『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代(2018)』は、2人の思想的背景から当時の社会情勢まで絡めて解説するドキュメンタリー。
伝記ドラマならジョン・マルコヴィッチ主演の『クリムト(2006)』。女性モデルたちとの関係を中心に描いた『エゴン・シーレ 死と乙女(2016)』が有名だ。
当に良い絵を観た後は、世界までもが美しく見える。ここで紹介した映画たちが、その鑑賞の助けとなればと思う。
映画批評家 浅草出身。「日刊ゲンダイ」等マスメディアや、9200万ヒットWEB『前田有一の超映画批評』にて「批評エンタテイメント」を展開。著書「それが映画をダメにする」(玄光社)。
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