稲垣「地道さのカッコよさを描きたくて…」
――科学とクラフトをテーマにした作品は革新的だったと思うのですが、その着想のきっかけはどこだったのですか?
稲垣:科学とクラフトをここまではっきりとかみ合わせるっていうのは、実は当初からあったものではないんです。
どちらかといえば、科学で発展させていくというところが肝で。そもそもこの千空というキャラクターでやりたかったことは、「すごく地味な作業ってカッコいいじゃん」ということなんです。
本当のゼロからめちゃくちゃ地道にちょっとずつ文明を上げていってすごいところまでたどり着くって、とんでもなく気が遠くなる作業じゃないですか。
でも、それを一歩一歩できるやつがいたらカッコいいよなって。その地道さのカッコよさみたいなものを描きたくて描いたものなので、重要なところは一歩一歩進んでいくところなんです。
だから、物をクラフトするっていうのは当初そこまで考えていなくて、逆にちょっと難しいかなと思ったんです。滑車を作るとかならまだしも、特に化学(ばけがく)の方になるとなかなか難しいので。
それで実は、2話目が試金石だったんです。ナイタール液とか硝酸とかって、もう意味分からないだろうと。
熊谷:ぶっ飛んでいますよね(笑)。
稲垣:そもそもアルコールの蒸留ってことだけでも難しい(苦笑)。“蒸留”も多くの人は分からないと思うので。だから、2話目は本当に人気の試金石だったんです。
「これで(人気が)やばかったら、もうちょっとバトル寄りにしなきゃいけないな」と思っていたのですが、ふたを開けたらすごく人気があって!
それで、千空が復活した後の2話目で、エネルギーと質量の話とかすっごく難しい話して(読者の反応を)探ったんですけど、それでも人気があって「この漫画イケんじゃねぇ!? クラフトしてもいいんじゃねぇ?」って。
その後も複雑なクラフトをして、やるたびに「今回はやばいだろう」って思うんですけど毎回大丈夫で。だから、やってみないと分からないこともあるんですよね。
熊谷:僕も読んでいて、「すっごく面白い! これこそ男のロマンだ」って思いながらも、「果たして(読者の)子どもたちはどうなんだろう?」って最初に思ったんですよ。
稲垣:ちょっとずつチャレンジを繰り返していって、勝負に出たのが“サルファ剤完成の回”。(千空のせりふの中で)すごいことやってるんですけど、もうギャグにするしかないなと(笑)。
熊谷:バランス感覚がすごいですよね。精製の過程を生真面目に化学式で描くとすごく読みづらい中、ギャグとしてバツンとすっ飛ばしちゃうというギリギリのせめぎ合い!
稲垣:もうそれしかなかったので。「この回こそやばいだろう」って思っていたのが、人気がドンッと上がって、「あ、イケたわ」と(笑)。
熊谷:僕だったら全部描くか全部ギャグにしちゃうと思うので、そのバランス感覚はすごいです。本当だったら一つの部品を作るのに1話使っちゃうところを1コマでやっちゃうというのが、漫画家さんだなぁって!
稲垣:難しい言葉を出すのが単純に怖いというのもあります。読者が離れちゃうんじゃないかという。歌詞を書いていてそういう思いとかってないのですか? 結構難しい言葉も使われていると思うんですけど。
熊谷:もちろんなくはないんですけど、僕は日本語っていうものを信じていて、みんな何年も日本語に触れて生きているわけで、文法とか単語って意識してなくても頭に入って来ているものだから、ある程度難しい言葉を使っても文脈が本当にしっかりしていればニュアンスで意味が伝わると思っているんです。
そういう意味で、聴いてくれている日本人を信じているという感じです。だから、難しい言葉を使うんですけど、決してエゴ的な使い方はしないようにしています。
稲垣:それは大事ですよね。「(難しい言葉を)知っている俺、カッコいいだろう」みたいなのが透けて見えちゃったら、もう終わりですもんね。
熊谷:それは本当にマズいやつです(笑)。平易な言葉だけで書くとちょっとつまらないから、スパイスみたいな感じでパラパラっとハバネロみたいな感じでパンチを効かすイメージですね。
稲垣:所々で出てきますよね。“霊峰”とかも普段使わない単語だし。
熊谷:実はゲームでは結構出てくるんですよ。
稲垣:そうか! なるほど!
熊谷:結局、自分が受けた感動を横流ししているというか、感動のロンダリングをしているだけ…(笑)。
稲垣:それがエンタメの基本ですよ。自分が「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見て、「『楽しかった』というこの感じなんだろう?」と自分なりに咀嚼して、横にパスしていくというのが“作り”の基本なので。
逆に「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいなのを作りたい」ってなっちゃ駄目なんですよ。それは完全に劣化コピー。
劣化コピーとクリエイトの違いって本当にそこで、「これを作りたい」「こんなのを作りたい」というのは劣化コピー。
そうじゃなくて、「これを見て受けた僕の感情ってなんだろう?」と感情を表現するにはどうしたらいいだろうかというのが創作なので。(互いに)通ずるものがありますね!
熊谷:オープニングテーマもすごく書きやすかったです。漫画でもらった感動をそのままポイッと!(笑)
アニメスタッフの方々から歌詞の直しも一つもなくて。元々、直しはあまりない方なんですけど、アニメサイドから歌詞について何にも言われないっていうのは珍しいみたいで。
記事は⇒https://thetv.jp/news/detail/202292/
アニメ「Dr.STONE」
毎週金曜夜10:00-10:30 TOKYO MX/夜11:30-0:00 BS11 イレブンほか各局にて放送中
毎週金曜夜0:00より、dアニメストアに各話先行配信
放送配信詳細:https://dr-stone.jp/onair/
BURNOUT SYNDROMES
4thシングル「Good Morning World!」
発売中
公式HP:https://burnoutsyndromes.com/
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■LIVE情報
「15th ANNIVERSARY TOUR2019→2020」
2019年12月15日(日) 愛知・THE BOTTOM LINE(昼5:00/夜6:00)
2019年12月20日(金) 東京・Zepp Tokyo(夜6:00/夜7:00)
2020年1月11日(土) 宮城・仙台Rensa (昼5:00/夜6:00)
2020年1月12日(日) 新潟・CLUB RIVERST(昼5:30/夜6:00)
2020年1月24日(金) 福岡・BEAT STATION(夜6:00/夜7:00)
2020年1月25日(土) 広島・LIVE VANQUISH(昼5:00/夜6:00)
2020年2月11日(火) 大阪・なんばHatch(昼5:00/夜6:00)
*ファミリーゾーンもあり。
【チケット代】
前売:4500円(税込/別途ドリンク代必要) 2歳以下入場不可 /3歳以上チケット必要
◆2019年夏アニメまとめ◆