中村勘九郎と阿部サダヲがダブル主演を務める大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。
同作は、宮藤官九郎が脚本を手掛けた日本のスポーツの歴史物語。日本で初めてのオリンピックに参加した金栗四三(勘九郎)と日本にオリンピックを招致した田畑政治(阿部)が奮闘する姿を描く。
本作のナビゲーターを務めているのは、四三と同じ時代の東京を生きた落語家・古今亭志ん生(ビートたけし)。そんな志ん生に弟子入りする落語家を演じているのが神木隆之介だ。
そんな神木に作中で挑戦している落語やビートたけしとの共演についてなどを聞いた。
最初、宮藤さんには疑いの目しかなかったです
――出演オファーを聞いた時の感想を教えてください。
役名が“五りん”って聞いて、象徴的すぎて謎だなぁっていう気持ちと、「名前浮かないかな?」って思いました。「オリンピックそのままじゃん!」って(笑)。
役柄も詳しく教えてもらっていなくて、「落語に興味のない弟子です」としか言われなかったんです。それってどうお話に関わっていくんだろうと…。
結果的には自分も落語をやることになったし、まさか自分が大きく物語を動かして、オリンピックパートと落語パートをつなげるとも思っていなかったので、すごくうれしかったです。ただ最初、宮藤さんには疑いの目しかなかったですけど(笑)。
――失礼な態度で志ん生に弟子入りをしてから、第39回(10月13日放送)で父親のことが分かるまでかなり五りんに変化があったと思いますが、台本を読んだ時の感想を教えてください。
五りんは道を踏み外してばかりいる子で、このキャラクターのまま、志ん生の弟子として語り、そこでさらに自分の祖先もだんだん分かっていって…という形でお話が終わるのかと思っていたのですが、台本を読んでみると「これは違うぞ」と思いました。
最終話が近づくにつれて五りんの方向性が変わっていって、もともと掴めないキャラクターだったのに、さらに分からなくなるようなことをしているんです。
それは彼の、地に足のついていない性格ゆえの行動だと思うのですが、「君の立ち位置はどこなの?」という気持ちになるので、第41回以降の台本を読んだ時は僕自身もどこに着地したらいいのか分からなくて、動揺しましたね。
もっと読み進めていけば、五りんの行動が近道でも遠回りでもなく、 五りんが“目的”を探すために必要なプロセスだったということが分かるのですが、最初はびっくりしました。
――落語を披露するシーンも多いですが、いかがでしょうか?
個人的にはいっぱいいっぱいで一生懸命やっています。
ただ、五りんはお客さんに話しながら自分も理解していくような部分があると思っていて、イメージとしては作品を見てくださっている方が「こういう歴史があったんだ、こういう関係性なんだ」と知ることを五りんも同じタイミングで分かっていくようなキャラクターだなと思いました。
最初は落語に興味のない役と聞いていたので落語はやらないものだと思って安心していたんですけど、徐々に落語のシーンが増えてきて大変でした…(笑)。
でも一番皆さんの目線に近いキャラクターだと思うので、作中で描かれている歴史を初めて聞いた人の反応と同じように新鮮な感じで演じるように頑張っています。