映画アドバイザー・ミヤザキタケルがおすすめの映画を1本厳選して紹介すると同時に、併せて観るとさらに楽しめる「もう1本」を紹介するシネマ・マリアージュ。
第8回は、自らを絶世の美女だと思い込んだことで超絶ポジティブになっていく女性を描いた『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』(10月18日夜9:00 WOWOWシネマほか)と、“地獄”と呼ばれるタイの刑務所を生き抜いた男の強靭な精神力を映し出す『暁に祈れ』(10月18日夜11:00 WOWOWシネマ)をマリアージュ。
人気コメディエンヌ、エイミー・シューマー主演作。彼女が演じる、化粧品会社で働くぽっちゃり体型がコンプレックスで自分に自信が持てないレネーが、ひょんなことから頭を強打し、自らを絶世の美女だと思い込んだことで巻き起こる恋や仕事でのハプニングを通し、心持ちひとつでいか様にも変わっていける人の心のあり方をユーモラスに描いた作品です。
コンプレックスのひとつやふたつ、誰だって抱えている。他人からしたらどうでもいいことでも、当人にとっては大問題。ただ、向き合い方は人それぞれ。自分の中でしっかりと対処法を確立できている人もいれば、どうすることもできずふさぎ込んでしまう人もいる。もしあなたが後者であるのなら、本作は最上級の勇気を手にするためのヒントを与えてくれるはず。今抱えているものを拒むのではなく認めることの難しさと大切さ、ありのままの自分を肯定できることの素晴らしさを、お茶目でおバカなレネーの勇気が示してくれる。
「人は見た目より中身が大事」。確かにその通りだと思うが、現実はどうだろう。見た目ばかりが重視されがちではないだろうか。それもそのはず。他人の中身や心になんてそう簡単には触れられない。自分の中身や心だってそう簡単にはさらせない。互いに信頼に値する相手だからこそ、初めて分かち合えるもの。でも、それだけがすべてとは限らない。心のあり方は、日頃の行動・表情・たたずまいにも表れるもの。見た目云々を凌駕する程の心の輝きであふれていたのなら、おのずと状況は変わっていく。自分を信じ始めたレネーの姿が、勘違いとは言え光り輝いていく彼女の心が、その光に照らされ変化していく周囲の人々が、誰にでも備わる無限の可能性に気付かせてくれることだろう。
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