まさかのおじさん化? 松風理咲、竹内愛紗、長見玲亜が三人で初舞台に挑戦〈観劇レポート〉
SweetPowerに所属する松風理咲、竹内愛紗、長見玲亜ら新進気鋭の3女優が揃って主演した舞台『私がオジサンになってた!?』が10月26日・27日の二日間、原宿クエストホールにて上演された。
幕が上がると、まずは作・演出と共演も務める3人組の男性コントユニット「大人のカフェ」メンバーである”伊達さん”の一人語りから物語が始まる。大きなスクリーンを使用したプレゼンテーション形式で、本作が今までにないコメディ作品であること、キャッチ―なタイトルを自画自賛した後「以上、松風理咲がお送りしました」と衝撃の一言を放って退場、舞台は喫茶店に移る。
友人と待ち合せ中の女子高生を演じる竹内愛紗は、初舞台とは思えない堂々とした様子で喫茶店マスターの加賀成一(大人のカフェ)と丁々発止の舌戦を繰り広げる。舞台上でも良く通る声と天真爛漫な立ち居振る舞い、竹内の魅力を遺憾無く発揮した役柄だ。そこへ「自分がオジサンになる夢を見る」と相談に現れた友人の松風理咲は、7月の初舞台『A列車に乗っていこう』で石田ひかりとの二人芝居で全国を回った経験値を武器にしっかりと物語をけん引する実力を見せた。。
その後も夢の中のシーンや過去の回想シーン、突如現れたミステリアスな占い師の長見玲亜。彼女も今作が初舞台ながら、後のインタビューで「緊張せず出来た」との言葉通り委縮することなく、3人の中でひと際大人っぽく魅力的な演技を繰り広げた。長見が水晶玉で見せる未来のシーンなど、時間軸を行ったり来たりしながら、一見脈絡のない各シーンが徐々に結びついていく。やがてこのままでは松風が将来本当にオジサンになってしまうこと、また竹内の父で失踪中のホームレス飯野智司(大人のカフェ)が所持していた「強く願えば何にでもなれる」魔法の小瓶がすべての元凶であることが明らかになる。
途中、エチュードから立ち上げたというアドリブ感のある掛け合いでは、彼女たちの素に近い表情でファンを楽しませ、かと思えば終盤、シビアな未来の自分の姿を垣間見てしまった松風と竹内が将来について語り合うシーンでは、現実の彼女たちと等身大の不安や悩みとシンクロするような濃密な演技を見せてくれた。
取材・文=中嶋稗史