佐藤「無意識のうちに役に染まっていく感じ」
――佐藤さんは以前、あるインタビューで「役作りで一番大切なことは、その役について考えること」と仰っていましたけど、雄二に関してはどんなことを?
佐藤:「よく『役作りのために何をされましたか?』って聞かれるのですが、結局役について考えているその時間が一番の役作りになっているような気がします」といった感じのことを話したことはありますね。
その意図は、もちろん役にもよりますが、理論で演じていないということ。感覚で演じているので、普段の自分じゃない人間になるために考えているというか、一種の洗脳みたいなものなのかもしれません。
別に何でもいいんです。雄二のことをずっと考えていると、お芝居をする時に勝手にその感覚になっていくんですよ。自分でも無意識のうちに役に染まっている感じです。
――白石監督は、今回の作品で佐藤さんのどんなところを引き出してみたいと思いましたか?
白石:僕には引き出すほどの腕はないですけど…、雄二は母親に対してつらいことを言ったりしますけど、そんな母親が過去に取った行動を誰よりも受け止めているんです。
子どもにはこうなってほしいと親が思うことをちゃんとやりきれていない自分に怒りを持っていて。クールに見えて実は一番熱いキャラクター。そんな役を健くんが演じたらどんな化学反応を起こすのか。僕自身、とても楽しみにしていました。
――白石監督から佐藤さんに何かリクエストしたことはありますか?
白石:脚本をとても気に入ってくださっていて、方向性に関しても間違ったことが何もなかったので、あとはお任せでした。
――佐藤さんは役について相談したんですか?
佐藤:雄二が(佐々木)蔵之介さん演じる堂下に飛び蹴りをするシーンがあるんですけど、僕はあんなことをしたくなかった(笑)。監督がやれっていうから、仕方なく蔵之介さんを蹴りました。
白石:そうだったんだ(笑)。
――雄二の言動について戸惑ったりしたことは?
佐藤:基本的に分からないんですよ、雄二の気持ちって。家族に対しての思いとか、ものすごく難しかったので聞き出したらキリがない(笑)。
だから、あまり聞かなかったような気がします。現場に入ってみたら何か感じるんじゃないのか、何かが出てくるかもって思いながら、ある意味分からないまま演じていたようなところがありました。
11月8日(金)全国ロードショー
監督:白石和彌 脚本:髙橋泉
原作:桑原裕子「ひとよ」
製作幹事・配給:日活
企画・制作プロダクション:ROBOT
<キャスト>
佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、音尾琢真、筒井真理子、浅利陽介、韓英恵、MEGUMI、
大悟(千鳥)、佐々木蔵之介・田中裕子ほか
(C)2019「ひとよ」製作委員会
【HP】www.hitoyo-movie.jp