中村倫也、神木隆之介は「年下だけど頼りになるし、安心感がある」【<屍人荘の殺人>連載】
全て現場でのノリで決めるというね(笑)(中村)
――木村ひさし監督はドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」(2018年TBS系)や「民王」(2015年テレビ朝日系)などを撮られていますが、本当にフレキシブルな演出をされる方なんですね。
神木「現場での変更は本当に多かったです」
中村「いわゆる小ネタと言われるものは、全て現場でのノリで決めるというね(笑)」
――それにビックリすることはなかったのでしょうか?
神木「僕は『SPEC』シリーズで一緒にやらせていただいた堤幸彦監督で慣れていたので。堤さんの現場も相当ですからね(笑)」
中村「木村さんの場合、ニコニコしながら近づいてくるから、きっとこの“おもちゃ”が楽しいんだろうなと思って。意味が分からないこともたくさんあったけど(笑)、僕らもそれを楽しんでやっている感じでしたね」
神木「そうそう、『理解できなくていいです。僕の趣味なんで』と言っていましたよね(笑)。でも、そうやって監督自身が現場を楽しんでくれているのが分かると、演じている僕らもうれしくなって、余計にそこに乗っかかりたくなるというのがあって」
中村「あと僕が好きだったのは、リハーサルに入る前に監督から『面倒くせえな』という心の声が漏れていたところ(笑)。確かに登場人物は多いし、ときにはミスリードを誘わないといけないので演出は大変だったと思いますが、役者の性格や状況を見ながら、このメンツなら成立するという足し引きの計算をちゃんとされていたのが印象的でした」
――そういった木村監督の演出を含め、この映画においての個人的な注目ポイントはありますか?
神木「倫くんは、秋山(坂口涼太郎)のことをキャラクター的にとても気に入っていたよね?」
中村「明智と葉村が通う大学のシーンで、最初にミステリー愛好会に相談してくる彼ね。だって、舌打ちはするし、声も小さくて…(笑)。それが最初に出てくるので、この映画はこういうテイストなんだと分かるし、いろんな意味で面白いキャラクターだったと思います」
神木「確かに彼が最初の段階でいたから、この後に出てくる濃いキャラクターたちが成立する感じがありましたよね。いやー、すごいです。そういった意味でも隅々まで見逃せない作品になっているので、ぜひ劇場でお楽しみください!」
取材・文=馬場英美