<試写室>「密着!中村屋ファミリー」中村屋の熱い1年から見る“芸”の継承
勘太郎の初めての挑戦を見守る梨園の温かさ

今年は2018年に引き続き勘九郎が大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(NHK総合ほか)の撮影のため、歌舞伎へ出演が通常よりも少ない。そのため番組内では、父親、そして師匠としての顔が多く見られた。
長男の勘太郎は今年3月に歌舞伎座で「盛綱陣屋」に出演、子役屈指の大役・小四郎を演じた。父・勘九郎、叔父である七之助、そして弟の長三郎も居ないという初めての状況で、勘太郎は奮闘する。
歌舞伎座で行われた顔寄せには勘九郎も駆けつけていたが、その表情は息子が心配でしょうがない! というような父親の顔。
自宅や楽屋でも中村梅花と共に息子の指導にあたる様子が紹介されるが、その姿は厳しくも温かい。そして、師匠としては“厳しい”イメージがあったが、勘九郎が勘太郎を褒める姿もあった。
勘九郎いわく「父(十八世中村勘三郎)も怒ってる印象ばかりだろうけど、いい時は褒めてくれた。だから信用できる」そう。歌舞伎役者とはいえ、まだ小学生。怒られてばっかりでは拗ねてしまうもんね、と思いつつ、“中村屋イズム”はこうして受け継がれていくのか…と関心してしまった。
また、片岡仁左衛門や片岡秀太郎に指導される場面や楽屋で市川猿之助と楽しそうにスマートフォンをのぞく場面も見られ、本当の家族だけでなく、歌舞伎界全体が家族のように幼い役者たちの成長を見守っている様子が垣間見えた。
自由奔放な次男・長三郎の成長も見どころ!

歌舞伎座で行われた八月納涼歌舞伎には勘太郎、長三郎が七之助と共に「伽羅先代萩」に出演。
七之助と勘太郎、長三郎と3人だけでの場面が1時間近く続き、さらに2人は重要な役どころを担う。そんな中、長三郎は本番中に大きな失敗を。
このハプニング、子どもならではのチャーミングな失敗なのだが、役者としては決して許されない。でもやっぱり、「私は果たしてこの年でこんな長時間おとなしくできただろうか…」と自分に置き換えて考えると、改めて勘太郎と長三郎の挑戦の大きさに気付かされる。
芝居を通して成長していく長三郎だが、叔父・七之助譲りのやんちゃな面は今回も健在。撮影機材に興味を示したり、大きな声を出したりとその姿はとても可愛らしい。そして例年通り、そんなやんちゃな長三郎と同じようにやんちゃだった七之助の幼少期の映像も流れるので、ファンは注目だ。
また、そのやんちゃっぷりにメロメロな大人たちの姿も可愛らしい。勘九郎と七之助のいとこにあたる中村児太郎は、長三郎を抱っこしたり、構ってあげたりとお兄ちゃんっぷりを発揮。艶やかで凛々しい舞台姿とは違った一面が見られる。
12月20日(金)夜9:00-10:52
フジテレビ系で放送