<同期のサクラ>“浮いたキャラ”の裏に豊かな感情表現 サクラ(高畑充希)が共感集めた理由
高畑充希主演ドラマ「同期のサクラ」(日本テレビ系)が12月18日に最終回を迎え、高畑演じる“忖度(そんたく)できない”主人公・サクラの10年間が完結した。まっすぐすぎて傷だらけの“浮いたキャラ”にもかかわらず、視聴者の共感を集めたサクラ。そこには、演じる高畑ならではの繊細な感情表現がちりばめられていた。(以下、最終回までのネタバレがあります)
「同期のサクラ」は、高畑主演の「過保護のカホコ」(2017年、日本テレビ系)のスタッフが集結し、遊川和彦のオリジナル脚本で描いた物語。サクラこと北野桜と、彼女を見守る4人の同期、百合(橋本愛)・葵(新田真剣佑)・蓮太郎(岡山天音)・菊夫(竜星涼)ら仲間たちとの10年間を回想でつづり、好評を得た。
まっすぐすぎて損ばかり
サクラは周囲から浮きまくっている。
どんな時も自分の信念を曲げず、違うと思えばどんな相手にでも「違うと思います」と言ってはばからない。入社式でいきなり社長に「全体的に話が長いと思いました」と言ってしまえる新入社員が現実にいたら、即モンスター扱いされるに違いない。
そんなわけで、まっすぐすぎるサクラは管理する側の人間からは極めて評価が低い。言っていること自体は正しいが、空気を読むことを一切しないので取引先を怒らせ、重役をイラつかせ、会社の大プロジェクトをとん挫させ…そしてサクラは閑職に追いやられ、子会社に飛ばされ、挙句の果てに解雇処分。まっすぐすぎて損ばかりしてきた。
キャラクター造形もユニークだ。感情のつかめないクールな表情に、大きな丸メガネのせいでさらに感情が読み取りづらい。たまに見せる笑顔は唐突すぎて同期を驚かせ、「いい。ヒジョーにいい」という言い回しや、角を直角に曲がるような几帳面な走り方、名刺を差し出すときのお尻を突き出したポーズなどまるでロボットのようで、デフォルメされた変人キャラクターという第一印象を受ける。
にもかかわらず、SNSには「サクラに元気もらった」「サクラみたいに自分らしく堂々と生きられたらってすごく思う」「みんながやりたくてもできないことをサクラが一生懸命やってくれてる」といった声が飛び交った。融通がきかず損ばかりしている変人キャラクターが、「あんなふうに生きられたら」という視聴者の共感を集めているのだ。