千葉雄大、可愛すぎる“おっさん”として唯一無二の存在確立<おっさんずラブ-in the sky->
主人公の春田が成瀬への愛を募らせていく
成瀬の“難あり”な部分。それは例えば、誰にでもキスできちゃうところ。そのせいでかつてモメていた女性が、職場に怒鳴り込んできたこともある。止めに入った春田が成瀬に突然キスをされ、怒った女性からコーヒーをぶっかけられた(第1話)。
また、他人に心を開くことが苦手で、素直になれないのも成瀬の特徴である。
人付き合いが悪く、ドライな性格であるのは、父親との確執のせいもあったが、成瀬の父が亡くなった報せを聞いた春田が、複雑な心境にある成瀬を強く抱きしめ「ほっとけねえんだよ」と告げている(第3話)。成瀬のことが気になって仕方なくなった結果、春田が「オレじゃダメか」とキスをしたこともあった(第5話)。
と、ここまで書くと、春田が成瀬の冷たくとがった氷のような心を溶かして、人間らしさを取り戻したかのように思えるが、実際に成瀬が好きなのは整備士の四宮(戸次重幸)であり。なんとも複雑な片思いが入り乱れているのである。
キャラクターの内面がにじみ出る演技が好評
完全に成瀬を好きになってしまった春田を振り回しているだけのような成瀬に「可愛い」の声が相次ぐのは、やはり、千葉の細やかな演技によるところが大きいだろう。
感情を出すことが苦手な成瀬は、走り方が独特。四宮に会いに行くときはモジモジ、ヒョコヒョコと小走りをして、気まずい状態にあるときは目の前から去るのに必死で全速力ダッシュする。走り方で気持ちがバレてしまっているのに、気付いていない。そこが可愛い。
偏食の成瀬は、四宮の作る食事以外で口にするものといえば冷凍グラタンだけなのだが、大きめのパーカーから少しだけ手先を出した“萌え袖”状態にして、スプーンをくわえている姿の可愛さといったら、10人中10人が認めてしまうだろう。
他にも、公園に逃げ出した成瀬が泣きじゃくり、下唇を出してスネているような表情は5歳の男児かと思えたし、冬のイルミネーションが輝く夜に、春田の上着のポケットに手を入れて温めてもらい、チワワか子猫のような顔をして上目遣いしているのを見たら、春田がほっとけないのもうなずける。「キスまでにやんなきゃいけないこと」が分からないという成瀬が恋の手ほどきを受けている姿は、しつこいようだがたまらなく可愛いのだ。