いや、こうしてWOWOWで特集が組まれるなど、いまだ彼の快進撃は続いているのだが、現在も都内で絶賛公開中となる彼の劇場長編映画第2弾「スペシャルアクターズ」(2019)を手掛けた深田誠剛プロデューサーいわく、「上田監督のことを知れば知るほど、映画をつくることを運命づけられていた人だと感じます。
映画への深い愛情や並外れた才能、チャーミングな人柄や優れたリーダーシップは、若くしてハリウッドの救世主となった(スティーヴン・)スピルバーグに近いかもしれません。まさに映画の申し子です」と。
確かに、上田監督は若き日のスティーヴン・スピルバーグにも引けを取らないほどの映画への情熱を持ち、そして、発想力とサービス精神もまた人一倍備わっている。
例えば、比較したいのはスピルバーグの成功を決定的にした「JAWS ジョーズ」(1975)だ。あれも当時の作品としては低予算で、鮫のクリーチャー造形自体はハリボテに近いのだが、終盤まで小出しに見せていき、恐怖を徐々にあおってクライマックスまで映画を見事に引っ張っていった。
翻って「カメ止め」はといえば、こちらも低予算を逆手に取り、前半部をツッコミどころ満載な「37分間ワンカット長回しのゾンビ映画の撮影」という設定に。そうして後半、その現場の舞台裏で“本当に”起きていたこと、“七転八倒ぶり”のすべてが明かされていって、それまでの光景がガラリと反転して見えるオセロ・ゲーム的な快感を観客に与えたのだった。
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