KAN&山崎まさよしのスペシャルユニット“YAMA-KAN”が「楽演祭」に登場【ライブレポート】

2020/01/15 11:00 配信

音楽

YAMA-KAN撮影=コザイリサ


いよいよ“YAMA-KAN”登場


「いい感じに温まってきたところで、YAMA-KANのオリジナルをやりますか」というKANの言葉を合図に、曲の準備に入った2人。しかし、ここまでの2人のやりとりから大方の人が予想した通り、一筋縄ではいかない。当初は「Take me Follow me」を予定したらしいのだが、山崎がループマシンで録ったパンデイロ(タンバリン)のテンポが「速すぎる」ということでKANが却下。

さらに、山崎がループマシンを逆回転再生したところから、話題は一気に脱線。20数年前からラジオで「人生逆回転」コーナーをやっているというKANの“逆回転の専門家”スイッチが入り、「ちょっとやっていい?」と言ってループマシンに向かって何やら一生懸命に歌い出す。そのフレーズからは何を歌っているのかさっぱりわからなかったが、山崎が逆回転再生させると、会場に響いたのは「大きな古時計」。しかも、<おじいさんの とけい>の<い>の部分では、山崎も「平井(堅)くんみたい」と称する絶妙なビブラートが効いている芸達者ぶりに、会場は笑いと驚きと賞賛に包まれた。

逆回転機能でひとしきり遊んだ2人は、「ちょっとテンポ感がわからなくなった」と言ってこのタイミングでの「Take me Follow me」を中止し、代わりに「記憶にございません」を演奏することに。しかし、KANが歌い出したのは、まさかの海援隊「贈る言葉」。「(イントロの)アルペジオの感じで思い出しちゃった」と弁解するKANに、「なんばしよっと!」と福岡なまりでツッコミを入れる山崎。再び気を取り直して演奏するも、今度は山崎が「贈る言葉」を武田鉄矢風の歌い方で歌い出すという展開に。

KAN撮影=コザイリサ


こうした音楽のみならず、トークでも息の合ったやりとりを見せる2人に観客の頬は緩みっぱなしだ。そして、三度目の正直で2人はバンドメンバーとともに「記憶にございません」を披露。先の特別授業で、「サイモン&ガーファンクルをイメージして制作した」と紹介されたこの曲は、全編を通してKANと山崎のハーモニーが続くのが印象的。伸びやかな高音を持つ山崎と、ふくよかな低音を持つKANの声が混ざり合うことで生まれる音像は、これぞYAMA-KANの真骨頂とも言える心地良さで会場を満たした。

ライブも終盤に差し掛かり、ここからさらに2人はギアを上げていく。KANが事前に「一緒に歌ってください」と呼び掛けた自身の楽曲「よければ一緒に」では観客の大合唱が響いた。続いて「星空ギター」を歌った山崎は、間奏部分でKANがピアノで弾いた「君といつまでも」のメロディに合わせて「幸せだなぁ。僕は“昭和音大”にいるときが一番幸せなんだ。……って言っても今日初めて来たんだけど(笑)。死ぬまで君を離さないぞ!」と観客に語りかけるなど、最後までユーモアを忘れない。もちろん演奏面においても、山崎が見事なギターソロで観客を魅了すれば、KANも続く名曲「愛は勝つ」で力強い歌声を披露し喝采を浴びた。

そして、本編を最後を締めくくったのは、中盤で断念していた「Take me Follow me」。今回はパンデイロのテンポ録りも成功し、無事に演奏がスタート。この曲の特徴でもある“追っかけコーラス”では観客も参加し、まさに大団円の締めくくりとなった。

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