――真希というキャラクターを演じる上で、どういうアプローチをされましたか?
台本を読んで、最初はもう少し落ち着いた女の子のイメージで作品に入ったんですけど、監督から「もうちょっとテンション上げて、もっと明るくていいよ」と言われまして。
「もっと? えっ?これ以上ですか!?」と繰り返し演じていくうちに、ある日「それがいい!」と監督から言われて、何がきっかけかは分からなかったのですが、監督の思う真希と私の思う真希が一致したんです。
それまで「高さをそろえる」という作業が主だった気がするのですが、一致した日を境にそれを膨らませるという作業に変わった気がします。
いろいろなアプローチで真希というキャラクターを演じられたので、試行錯誤した日々も今では楽しい思い出です。
――真希は広島出身ですが、芳根さんの方言もすごく自然な印象を受けました。
私自身に“方言感”があるんですかね(笑)。でも、こうやって演技で方言をしゃべるとき、東京出身で良かったなと思います。(言葉が)どの色にも染まっていない分、どこの言葉にも染まりやすいですし、いつも方言は演じていて楽しいです。
――方言が抜けないことはありますか?
大阪で1年間撮影(「べっぴんさん」)していた時はなかなか引きずるものがありました(笑)。でも、短期間であればすぐに切り替えられますね。
――今回、広島でのシーンもありましたが、広島にはどのくらい行かれていたのですか?
滞在時間で言えば2、3時間くらい…。朝に東京を出て、その日の夜に帰って来るというスケジュールでした。東京へ帰る時「もう帰るの?」ってみんなに言われました(笑)。
観光する時間もなかったのですが、帰りに広島焼きを空港で食べて帰りました! 「せめてこれくらいは…」と(笑)。
――その短時間でも広島で撮らないと…という監督の強いこだわりがあったのでしょうね。
そうですね。あのシーンの景色は広島じゃないと成り立たない、という感じでした。監督は「これでいいや!」という考えが全くない方なんです。
「これがいいんだ!」というものを突き詰める、一切妥協をしない方なので、その分私も何度もチャレンジさせていただきましたし、自分との闘いでもありました。
常に初心を念頭に、真正面からぶつからせていただいたなと思います。
――ちなみに大学生役は初めてですよね。大学生を演じることに対しての思い、キャンパスライフへの憧れなどはありますか?
キャンパスライフへの憧れはめちゃめちゃあります! 衣装合わせで「今時の大学生ってどういう服を着ているんだ?」という話になった時、全然分からなかったのがショックでした(笑)。
自分が今いる環境って同世代の友達とはちょっと違うので、今時の大学生について考えたとき、ぴんとこなくて少しだけ切なくなりました。
でも、それは私が違う人生を歩めたということでもありますし、反対に私の人生を「いいな!」って思ってくれる人もいるかもしれません。結局はない物ねだりなのだと思います。自分の人生を自分で選んだので、後悔はありません。
――なるほど。そしていろいろ大学生をリサーチした結果、あのでかいリュックサックを持ったわけですね(笑)。
そうです! 大学生だったら、あれくらいの荷物はあるよねっていうふうに決まりました(笑)。
1月17日(金)全国公開
配給=松竹
(C)2020「記憶屋」製作委員会
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