<吉沢亮>ここがピークではない! 「勝負の年」の、その先<ザテレビジョンシネマ部>
露出の多かった2018年を経て、自身で「勝負の年」と定めていたという2019年。ここではグッと出演作品数を抑え、深く濃く、観る者の記憶にその存在を刻み付けるような仕事ぶりが印象に残った。
NHKの連続テレビ小説「なつぞら」ではヒロインの初恋の人であり永遠の目標であり続けた山田天陽役で“天陽ロス”を巻き起こし、アニメ『空の青さを知る人よ』では声優にも初挑戦。中でも、映画『キングダム』(2月1日[土]よる8:00 WOWOWシネマほか)では、確実に役者としてのさらなる飛躍を感じさせた。
そもそも漫画が大好きだと言い、これまでにも数々の漫画原作ものの作品に喜々として挑んできた吉沢。そんな彼が『キングダム』では、大将軍になるという夢を抱く主人公、信(山崎賢人)の幼なじみである漂と、漂とうり二つの王、嬴政(えいせい)という2役を熱演。
奴隷の漂には真っすぐな野心を抱いたたくましさを、王の嬴政にはあふれ出るオーラと気品、崇高な雄々しさをまとってみごとに演じ分け、観客を驚かせた。
同じ背格好に同じ顔、同じ声なのに、まったく違う人が演じているかのように各キャラクターを魅力的に生きた、彼の骨太で説得力のある演技が、作品の面白さを、熱を、感動を、2倍にも3倍にも引き上げたと言っても、決して過言ではない。
吉沢はこの作品と役を通し、改めて自身のオールラウンダー俳優ぶりを実証して見せたのだ。