中井「人間臭さの塊のような2人はすごく貴重」
――いい年の大人なのに一生懸命生きている則夫と佐輔。このキャラクターについてどのように思っていますか?
中井:則夫は本当に口八丁で、演じていて面白いというより、大変なことの方が多かった。セリフも多かったし。でも、いい意味でダマしていくという面白みがあり、女性に弱いというかわいらしさもあります。
佐々木:則夫も佐輔もどちらも人間臭いんですよ。
中井:本当に。最近、人間臭いというのが世の中からどんどんなくなり、毒や欲がないことが肯定される時代になってきています。でも僕はそれだと面白みもどんどんなくなってきているような気がして。
人間らしさをコンプライアンスで否定される時代になってしまっていることを、僕たちはどこかで覆していかなきゃいけない。やはり人はフレキシブルで寛容なことが大事だと思うので。
そういう意味で、この人間臭さの塊のような2人はすごく貴重。よくシロかクロかと言いますが人間なんてグレーな人ばかり。その代表みたいなのがこの2人なんですよ。
佐々木:あと2人の関係性も好きですね。人って承認欲求ってあると思いますが、佐輔はそれが薄い。
でも身近にいる則夫が彼の作った器を見て、「何百年後にこの器に感化される人が出てくるよ」と言っていて。
そりゃ生きているうちがいいんですけど、身近にそういうことを言ってくれる人がいるというのは大きいなと思いました。この年になってそういう関係を築けている人がいる。うらやましいです。